おしゃれなバーでカクテルを待っていたら、隣のお客様からです。と次郎系ラーメンがカウンターを「僕は飲み物だよ!」と言いながら滑ってきた。例えるならそんな感じだろうか。
もしくは、いちごパフェをファミレスで頼んだら、はいよ!っと油ギッシュな店長が野菜マシマシチョモランマ背油多めをゴトッと机に置いた。そんな作品でした。
多くを語る必要はここではありません。
あなたの想像を超えてくる作品であると伝わればそれでいい。
しかし、安心してください。
ぎっとぎとの油まみれのお口の最後には、店長がふふっと笑いながらいちごパフェをくれます。ひんやり甘酸っぱい、そして切なくも美しい。
そんな作品でした。
始まりはとても優しげな、ホームドラマのような雰囲気です。
心を持った2LDKの部屋と、見守られる家族。
あたたかな空気感の中、それでも生まれてしまう一抹の寂しさ。
そんな繊細な心の機微を描いたドラマが始まるのかな?と読者は予感を膨らませるのですが…
それが三節目になると途端に様子がおかしくなります。
え、あれ?とやや理解が追いつかないままに話は進み、
あれよあれよというまに急展開、急展開、急展開となり、
気がつけば私は巨大な愛(※物理含む)に包まれて、
目に涙をにじませていました。
とんでもない作品です。
なかなかない読書体験ができること、間違いありません。
ぜひ、多くの方に読んでいただきたいです。
2LDKが恋をした。
ちょっと何を言ってるかわからない。
この短編小説はその「わからなさ」を追う暇すら与えてくれない。
少し考える時間をくれ。
いいや、あんたは考えるんじゃない。感じるんだ。
2LDKは胸倉を掴んで鼻に噛みつくように言葉をぶつけてくる。
短編小説はダイナミズムだと思う。
はいはい。2LDKが3LDKに恋をしてツーバイフォーのはてに6LDKが産まれるのね。と高をくくってると、大腸に直で注射を刺されて高濃度アルコールを注入される超展開が待っている。
それこそダイナミズムであり、この短編小説から目を離してはいけない何よりの説得力なのである。
すべてはただ一点に集約するために書かれていて、読み始めた僕たちはそれを見届ける責任がある。2LDKが恋を始めた理由を知ったら、その結末を知りたくなるじゃないか。
終わりよければすべてよし。いい言葉だ。
変態とは、純愛のその向こう側にとぐろを巻くものだから。
見届けてほしい。この純愛を。