第17話「友達とクリスマスを☆」

「メリークリスマス♪♪♪」


 一瞬河童は振り返る、クリスマスの夜に街灯の下を歩いていた時の事だ。


「あっ、あの家覚えてる」

 河童は声のする家に近付き中を覗き込む。


「やっぱりくりすますはキレイだなーーパチパチしてるーーーー♪」

 家の中はクリスマスの飾が付けられ電飾がピカピカしていた、河童は去年もこの家のこの光景を見ていた。



「ねーねーママ、赤ちゃんまだ?」


「まだよ、でも春にはおねーちゃんよ」


「パパ、あたしおねーちゃんなる」


「はっはっは、いいおねーちゃんになるんだぞ♪」



「…………」

 河童は今年もその光景に目を奪われましたが今年はそのスゴくスゴく綺麗な光景を優しく見つめることが出来ました。



◇◆◇◆



「ねえ河童! 何してるの?」

 ルナが河童くんに声をかけます。


 ルナはピンクの「ふわり」と広がった膝丈ほどのサンタスカートに河童くんとゴブリンくんと三人で作った、てっぺんにフサの付いた緑と赤のラメ入りクリスマスカラーに金の星の入った派手な三角帽子をかぶって、その手にはお婆さんがクリスマスプレゼントにくれたピンクの金属バットがまだリボンの付いたまま大切に持たれていました(何てものをプレゼントした、お婆さん!)。


「あっ! ルナ!!」

 河童くんもすでにおそろいの三角のパーティー帽子をクチバシの下にしっかりゴムをしてかぶっています。


「今日はウチでクリスマスパーティーでしょ、そんなとこで寄り道してるとバットで頭カチワルわよ♪」

 聖なる日になんてことをおっしゃる……。


「ルナもだよ! 早くケーキ食おうぜ!!」

 ゴブリンくんもおそろいのパーティー帽子を角の邪魔にならないようにかなり後ろめにかぶって二人をせかします。


「あっ、ゴブリンくん! お菓子は? お菓子もある?」

 河童くんは楽しそうにゴブリンくんに駆け寄ります。


「おうよ、お菓子も料理も炭酸ジュースもあるぜ!」

 ゴブリンくんが河童くんの背中の甲羅を「バンバン」叩きながら言いました。


「ボク去年たんさんじゅーす飲んだけど、口と喉が「ジュワジュワ」して痛かったよ」

 炭酸ジュースは河童くんには早かったご様子です。


「オレも炭酸は少しだけ(とっても)苦手だが、紅茶と緑茶とオレの好きなオレンジジュースも有ったぞ」

 ゴブリンくんはルナのお婆さんが用意してくれた料理やお菓子を自分で用意したように偉そうに言いました、お婆さんは緑茶と紅茶がクリスマス色だから用意してくれたのでしょうか?


「やっぱり緑茶は落ち着くよね」

 緑茶は河童くん用でした。


「河童! せっかく迎えに来たのに私にお礼の言葉もなしなの」

 ルナはバットを肩にかけ腰に手をやり憤慨ふんがいします。


「ありがとうルナ、くりすますさそってくれて」

 河童は振り返ると目一杯笑いました。


「ゴブリンくんは?」

 ルナは河童くんの素直な言葉に少し照れたあと、ゴブリンくんにパーティーの主宰者の私に感謝しろと強要します。



※照れ隠しです



「何で俺が!」

 と言った瞬間、お婆さんのクリスマスプレゼントがすでにゴブリンくんのこめかみの横にあるのに気づきました、買って貰ったばかりのバットでなければゴブリンくんの鮮血せんけつでピンクのバットは赤く染まっていたことでしょう。


 ゴブリンくんはひきつった笑顔で震えながら。



「ありがとうございます、ルナ様……」



 と答えるのでした。


「やっぱり友達がいるとクリスマスも楽しいよね☆」

 ルナは二人に抱きつき白い息と共に「ニンマリ」と笑った。



***



 ルナのワークスペース@パーティー会場。



 倉(ワークスペース)には一ヶ月も前から三人で飾りつけたクリスマスツリーとその日お婆さんがルナとお友達のために用意してくれたケーキとご馳走が待っていました。



「河童、ゴブリン、メリークリスマス♪」


「メ、メリークリスマス……」


「めりいくりすま~~~~す」



 三人は紅茶(←結局ルナも炭酸苦手)と緑茶とオレンジジュースで乾杯したあと、口いっぱいケーキをほうばりクリスマスをお祝いました、それはそれは友達と過ごす素敵な夜でした。



 すべての人が幸せな日だったらいいな。

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新霊少女☆友達(妖怪)コレクション♪ 山岡咲美 @sakumi

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