第5話「河童とクリスマスとクリスマスケーキ☆」

「メリークリスマス♪♪♪」


 一瞬河童は振り返る、クリスマスの夜に街灯の下を歩いていた時の事だ。


「何か騒いでる?」

 河童は声のする家に近付き中を覗き込む。


「あー、何かパチパチしてる」

 家の中はクリスマスの飾が付けられ電飾がピカピカしていた。


「ねーねーママ、ケーキ切って」


「はいはい♪」


「パパ鳥さん切って」


「はっはっは、パパは鳥さん切っちゃうぞ~♪」


「……」

 河童はその光景に目を奪われました、スゴくスゴく綺麗な光景だったからです。


「…………」

 河童は暗い外に1人でいる自分が可愛そうになりました。


「ここに居ちゃ駄目だ……」

 河童はソロリソロリと離れて行きます、人間に見つかったら大変だから? いえ、可愛そうな自分を見られたくなかったからです。



◇◆◇◆



「ねえ河童! 何してるの?」


 河童は条件反射で頭のお皿を守ります、聞き覚えのある声とバットの気配がしたからです。


「……」

 河童は声の主がルナだと気づきました。


「何故頭守ってるの? アタシルナだよ?」

 ルナは相変わらすのあまロリっぷりで、メインカラーが薄いピンクで縁色が白のケープと白く大きな胸のリボン、ふわりと広がるも重厚さも感じる膝下丈のスカート、頭の上にはちっちゃなサンタ帽がピンで止められていました、もちろんサンタクロースをイメージしたルナの手作りです。


「……」

 河童は「ルナだからだよ!」っと思いましだがそっと手を頭から下ろします。


「何してたん?」


「……」


ルナはそう聞くも河童は答えません……。


「ケーキ余ってるから食べる?」


「ケーキ?」


「そっ、クリスマスケーキ♪」


「くりすますけーき……」


 河童はあの家を振り返ります。


「そうそう、クリスマスのやつだよ、ウチお婆と2人だから余っちゃうんだ♪」


「くれるの?」


「服作るトコ来て♪ そう倉♪♪、ケーキとチキンと炭酸のジュースあげる、あとお菓子も♪♪♪」


「お菓子も?」

 河童はお菓子は知っていました、パリパリサクサクと美味しいやつです。


「うん、おいでよ♪」


「うん! いくよ♪♪」



 河童は初めてクリスマスを祝いました、それはそれは素敵な夜でした。

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