第14話「星まで届け☆」

「オイ河童! 七夕たなばたの短冊なんて書いた?」

 ゴブリン君はルナ家のくら、ルナが服を仕立てるワークスペース、雑多に服の材料が壁際にうず高く積まれた引き出し式収納ケースの前、真新しいローテーブルで自分の書いた短冊を「ペラペラ」と振りながら意地悪そうに聞いた。


 そこにはルナが張り切って用意したお婆さんの長寿を願う[折鶴]や裁縫が上達するように折り紙を輪にして作った[吹き流し]友達大漁祭りの願いのこもった[網飾り]「儲かりまっか~? 儲かりまっせ~☆」の[折紙財布]災いの身代わりになってくれる、色鮮やかな和紙で仕立てた力作のお着物[神衣かむい紙衣かみこ)]儲かったあとに整理整頓と倹約の心[くずかご]などが飾られゴッテリ頭をもたげた豪華な笹飾りがおわした。


 ちなみにローテーブルは最近お婆さんが買ってくれました、大切なお友達がよく家に来るようなったからです。


「え?! あの……ボクまだ……字、書くの下手だから……」

 河童は野生の河童なので学校には行っていなかった、そこでルナとゴブリン君が文字の書き方を教えたのだがまだ下手で自分の字が恥ずかしいようだった。


「なんだよ見せろよ~~」

 ゴブリン君はローテーブルで短冊を「ペタン」と水掻きの手で押さえ、上に覆い被さった河童のまわりから覗き込もうとする。


「ゴ、ゴブリン君、だっ、だめだよ~~」

 ……なんかイチャついてる様にしか見えない。



「アタシはこう書いたわ!」



 上の階から急な階段を使ってルナのご登場です。



 七夕のルナは薄い紫色に大きな星と小さな星が散らばめられた柄のスカート浴衣、スカートはルナこだわりの[ふわふわフリル]が五段重ねで広がったセミロングスタイルでルナお手製のものだ。


「ルナはどんな事書いたんだ?」

 ゴブリン君はどれどれといった感じでルナの短冊を覗き込み、そしてその生命活動を停止した。


 ……いや、停止したように見えた。



「??いっは?いつくれます?に?」

河童はまだ漢字と濁点だくてん半濁点はんだくてん゜が苦手だ。



「友達いっぱいつくれますようによ☆」

 ルナは友達増やすわよって感じで二人(二匹)に対し嬉しいでしょ☆と言ってのけた。


 河童はルナにバットで打撃やられた頭(お皿)をおさえ恐怖した。


「何よけーな事書いてんだよ!!」

 ゴブリン君は生き返った(死んでない)。


「なに? ゴブリン♪ アタシの取り合いになるかもって心配しての♪♪」

 ルナ、ゴブリン君の心配は別のところにあります。


「そんな言ってないだろヾ(゚д゚;)ノ」

 あれ、以外にゴブリン君照れてない? みゃく有りなの?


「で、あんたらは何て書いたの?」

 ルナは話の流れにお構いなしです。


「え? ああ、俺はこうだZE!!」

 ゴブリン君は無意味な語尾と共に短冊をルナの眼前がんぜんに突き付けました。




 ★世★界★征★服★




 おとこたるものこうである。



「バカなの?」



 漢たるものバカである。



「で、河童は?」

 ルナはゴブリン君に冷たい言葉を送ったのち河童を「ギラリ」と見つめた。



「こちらになります」

 河童は素直に短冊をルナ差し出した……ゴブリン君の時と態度が違うって?



 恐怖政治の賜物たまものです❤️



「全部ひらがなかよ河童」


「そんな事言わないの!」


 ゴブリン君の頭にげんこつが落ちます。


「c(>_<。)シ*痛てて!」

 そしてゴブリン君は痛みと涙目と共に短冊を覗き込み「へらり」と笑った。


「いいじゃん☆」

 ルナも「ニンマリ」笑う。






みんなけんきにたのしくくらせますように






 本当にそう思う日でした。

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