目の前の綺麗なものを見たままに綺麗ということは間違いか

一年中咲き誇るひまわり畑。それは幻想的で綺麗な光景だったが、原因不明な現象は人々を不気味にさせ、不安を助長していた。中でも恐れられたのは、人類の敵とされる異形がまた人間を襲い始めるのではないか、ということだ。
そんなひまわり畑を調査にきた学者の陸奥。彼は果たして、真相にたどり着けるのか?

人間は原因不明、未知といったものに恐怖や不安を覚えるものです。
ですが、陸奥はそういったものにしっかりと向き合う人間です。他人から聞いたことではなく、自分が実際に見て感じたことを元に、たくさんたくさん一生懸命考えて、自分の判断をします。
そんな彼の視点で進む物語は賑やかで、切なくも優しく、しかし、根底にずっと不穏なものが流れています。その絶妙さに、読者は物語の行く末を案じずにはいられません。

とても美しく、メッセージが真っ直ぐに伝わってくる小説です。文章もスラスラと入ってくるので、長編だと身構える必要は全くありません。前知識もない方がよりストーリーを楽しめます。
ぜひ、多くの方に夢中になっていただきたい小説です!

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