異形と人間の住む世界。一年中咲き続けるひまわり畑の調査に来た研究所研究員の陸奥は不思議な女性アサヒと出会い、人を傷つける存在、異形の真実を知る……
様々な異形との出会いの末、陸奥が行く道、アサヒの抱える思いが物語の最後をどんなものにするのか……ぜひ、あなたの目で確かめてください。
作者様のあたたかみのある言葉遣い、ついつい吹き出してしまうコミカルな登場キャラクター達もこの作品の魅力です!!
あなたも様々な景色、様々な出会いと別れに心動かされること間違いなし!この世界に飛び込んでみては?
アサヒさんの極寒ブリザード、正直で純粋な陸奥のモノローグ、おすすめですよ!!
え?何言ってるの?と興味を持ったらぜひぜひご一読を~!!
世界各地で起こっている超常現象。その一つである「一年中咲き誇るひまわり畑」の調査にやってきた青年、陸奥。
言葉だけならただ美しく幻想的な風景ですが、それらの原因ではないかと噂されているのは、この世界に存在する「異形」でした。
千年以上前に人を襲い世界を蹂躙したその恐ろしき存在は、人々が必死で戦ったことにより数を減らし、その大半は駆逐されたはずです。
しかし、弱点である鉛で作られた柵の向こう側で、未だ彼らは生き続けています。ひまわり畑が存在するのも、その壁の近くでした。
ある日、ひまわり畑の調査をしていた陸奥は、柵の向こうにいるはずの異形と出会ってしまいます。
近づいてきた異形に武器を構える陸奥。そこで彼が出会ったのは、顔のほとんどを隠した不思議な女性、アサヒ。
その出会いによって陸奥は、異形に関するある真実を知ることになります。
こちらの作品は基本、陸奥の一人称で進んでいきます。
彼と一緒に笑ったりほのぼのしたり、時に切なさや悲しさで胸を痛めたり。
優しい彼の語り口で描かれる物語は、読者の胸に温かい読了感をもたらしてくれます。
出てくる登場人物たちもみんな愛らしく、そして、本当に誰もが美しい心を持っています。
どうしてそんなに優しいのかと! きっと誰もが胸を打たれてしまうでしょう。
やがて陸奥が全ての「真実」を知った時、彼はある「決意」をします。
ネタバレになってしまうので言えませんが、彼の勇気ある決断と行動は、もう是非多くの方に見届けていただきたい……!
是非この機会にご一読ください!
全52話完結、文字数にして約14万文字、やや分厚い文庫本1冊程度でしょうか。
本作は、残酷さの中に優しさが満ちた、本当に素敵な小説です。
異形という存在と、人との関わりを描きつつ、なぜ人は異形を恐れるのか、そして殺すのか。負の部分を突き付けてくるのですが、ダークな部分がないのですね。
善悪は、どちらか一方通行で見るべきではなく、双方向で見るべきものです。
そして、結果的に、異形はなぜ生まれ、人と敵対するのか?
物語は、研究員の陸奥という青年と、不思議な少女アサヒを中心に描かれていきます。当初の冷めきったアサヒの態度が実に素晴らしく、おろおろする陸奥が何とも可哀相に思えるほどです。
そこに様々な異形が絡み、陸奥は知らなかった真実を少しずつ学んでいきます。その過程で、アサヒとの距離も縮まっていきます。
異形の真の姿を知った陸奥の行動が、アサヒをも動かしていきます。
アサヒがなぜ、あのような恰好でいるのかは、物語のかなり後半で解き明かされますが、そこは読むのがちょっと辛かったほどです。
ラスト52話のエピローグは、涙する人も多いのではないでしょうか。
余談ですが、個人的には前半に登場した妖精のエルが、後半ほぼ出番なしなのが悲しかったです(笑)
本作、本当に読むべき作品ですし、読まなければ損ですよ。
読了した時に、心が温かくなれる貴重な作品です。
是非とも一読してください。
最初はただただ柔らかく、優しくあたたかい物語が続き、
心がぽかぽかと照らされます。
この物語は優しくゆっくり少しずつ読者との距離を詰めていき、引き込んでいきます。
しかし、それは作者様が伝えたいことへの動線。
「伝えたい事」それはぜひ最後まで読んで頂き、感じて頂きたいです。
その時、散りばめられていた伏線はただの伏線ではなく、私たちが普段見落としているものや事。繰り返される日常や、慌ただしさで目をそらしていた事だと分かります。
誰だって最初は陸奥さんと同じ。分からないものや「異形」を怖がり拒絶するでしょう。
しかしこの物語を読んだあと、きっとそれらを見る目が変わるのではないでしょうか?
それは物語だけではなく、私たちの日常においても。
だからこそ、たくさんの人にこの物語を読んでほしい。
心からそう思えるお話しです。
一年中咲き誇るひまわり畑。それは幻想的で綺麗な光景だったが、原因不明な現象は人々を不気味にさせ、不安を助長していた。中でも恐れられたのは、人類の敵とされる異形がまた人間を襲い始めるのではないか、ということだ。
そんなひまわり畑を調査にきた学者の陸奥。彼は果たして、真相にたどり着けるのか?
人間は原因不明、未知といったものに恐怖や不安を覚えるものです。
ですが、陸奥はそういったものにしっかりと向き合う人間です。他人から聞いたことではなく、自分が実際に見て感じたことを元に、たくさんたくさん一生懸命考えて、自分の判断をします。
そんな彼の視点で進む物語は賑やかで、切なくも優しく、しかし、根底にずっと不穏なものが流れています。その絶妙さに、読者は物語の行く末を案じずにはいられません。
とても美しく、メッセージが真っ直ぐに伝わってくる小説です。文章もスラスラと入ってくるので、長編だと身構える必要は全くありません。前知識もない方がよりストーリーを楽しめます。
ぜひ、多くの方に夢中になっていただきたい小説です!
「異形」という不気味な存在がいる世界で、ある研究所で研究員をしている主人公「陸奥」が調査のために不思議なひまわり畑に赴き、そこで出会った異形と心を通わすことのできる「アサヒさん」を媒介して、様々な異形と触れ合っていき、本当に異形は恐い存在なのか、人間は何をしてきたのか・・・・と徐々に迫っていく物語になっています。
文体は優しくて、陸奥さんとアサヒさんの楽しい掛け合い、可愛い仕草を見せる異形にクスッとしつつも、深みのある世界観と、一本筋の通った強いテーマ性のある本当に楽しくて、心が優しくなれる作品です。
物事を多面的に見る大切さ、そして真っすぐな心の籠った言葉は、確かに人の心を打つ・・・・ 皆さんもぜひ読んで、その優しさと強さに触れてみてください。
甘い水が流れる滝、虹色の花が咲き誇る森などなど。言葉だけで表すと、幻想的で綺麗な光景たち。しかし、原因不明という事実が、人々の恐怖の感情を増していた。その恐怖の大部分を占めるのが、『異形』と呼ばれる怪物たちの存在で……
僕が銃を向けた相手は、凶暴で残虐な人類の敵であって欲しかった。
傷付いた異形を治療して回るアサヒさんとの出会いが、青年の異形への概念を少しずつ変えていく。
"助けたいという感情に、理由が必要ですか"
という言葉が、まさにこの物語の根本だと思います。
可愛らしい異形たちもとても魅力。
その関わりは特別なものとなる。
あたたかい気持ちになれるこの物語を、ぜひとも読んでみてください。
第三章まで拝読したレビューになります。
異形と呼ばれる存在が出現した世界。人肉を食らうその存在に恐れ戦き憎んだ人間は、鉛が弱点であることを発見する。銃で異形を屠り、鉛でできた柵の外へ追い出した。
そんな恐ろしいプロローグから1000年後。一年中咲き誇るひまわりを調査しに来た陸奥と、異形と心を通わすアサヒが出会う。この出会いが人間と異形の雁字搦めになった確執を少しずつ解いていく。
作品を通して「優しい」という印象を受けました。
主人公である陸奥さんの性格もそうなのですが、登場する異形がみんなチャーミングだったり、エピソード一つ一つが心温まるものになっています。
相手を知らないから怖い。かつての蹂躙が生み出した「異形は敵、出会ったらすぐに撃ち殺せ」という認識は仕方がないのかもしれない。だけど陸奥さんが知ろうと一歩踏み出した世界は、あまりにも優しくて温かいものでした。歩み寄ろうとする陸奥さんに応える準備は、もう異形側にはできているのかもしれません。
心が温まったり胸が苦しくなったり、そんな巧みな心理描写も必見です。感情移入への導線が秀逸です。ぜひ読んで、そして体験していただきたい。
異形が出現した謎、そしてひまわり畑に隠された真相、なぜアサヒさんが異形と一緒にいるのか。少しずつ解明されていくであろう物語に今からわくわくが止まりません。
寒い季節に咲くひまわりのように温かい物語です。ぜひご一読ください!
不思議な「雪降るひまわり畑」の調査に来た「陸奥さん」。
その近くには恐ろしい「異形さん」たちが住んでいました。
人間の間では「倒すべき存在」と伝えられている異形さんたち。
しかし、異形さんの言葉の分かる「アサヒさん」を通じて異形さんたちと触れ合っていくうちに、陸奥さんは言い伝えは本当に正しいのかと疑問に思い始めます。
陸奥さんのほのぼのとした、ツッコミ口調にくすりと笑い。
優しくて、ユーモラスな異形さんたちに、ほっこりします。
読み進めていくうちに、陸奥さんが調査のためにひまわり畑を訪れたことを忘れてしまい、異形さんたちとの触れ合いに癒やされていきます。
ですが、忘れてはならないのです。
陸奥さんが、調査のために来たことを。
人間たちは、異形さんたちを「悪いもの」だと信じており、冬でも花咲くひまわり畑は異形さんたちが原因だと疑っていることを。
果たして、「ひまわり畑の秘密」と「異形さんたち」には、何か関係があるのでしょうか。
そして、異形さんたちの優しさを知った陸奥さんは……?
優しい雰囲気の中に、ちくりと、心に小さな引っ掛かりを覚える物語です。
そして、それは、きっと「忘れてはいけないもの」なのだと思います。
まわりが、みんなが、そう言っているからといって、それは真実ではないのかもしれません。
――物語でも。現実でも。
「【お隣りさん】は優しい」ということに、気づかなくてはいけない。
そんなふうに感じる物語です。
ロッカス研究所所属の研究員である陸奥さんを主人公として物語は
進んでゆきます。
『境の柵』『異形』『異形駆逐専門職ハンター』
繊細な情景描写の中に確かに感じられる作者さまの独自の世界観。
物語の根底に確かな『テーマ』が感じられます。
主人公と共に、その疑問、答えを得るまでに感じる様々な選択と葛藤を、
読者は経験するでしょう。
まだ物語は序盤ですが、主人公と登場する女性キャラクターも光っており、思わず
二人の行く末にも期待をしてしまいます。
素直で実直な主人公は「ちゃんと自分で考え、答えを出す、行動する」
キャラなのだなと見受けられ、非常に好感。
文章も読みやすく物語展開もスムーズ。
皆さんにオススメしたい作品です!