泣きたくなるほどの優しさと真実を知って。これはむかしむかしのお話です。

世界各地で起こっている超常現象。その一つである「一年中咲き誇るひまわり畑」の調査にやってきた青年、陸奥。
言葉だけならただ美しく幻想的な風景ですが、それらの原因ではないかと噂されているのは、この世界に存在する「異形」でした。

千年以上前に人を襲い世界を蹂躙したその恐ろしき存在は、人々が必死で戦ったことにより数を減らし、その大半は駆逐されたはずです。
しかし、弱点である鉛で作られた柵の向こう側で、未だ彼らは生き続けています。ひまわり畑が存在するのも、その壁の近くでした。

ある日、ひまわり畑の調査をしていた陸奥は、柵の向こうにいるはずの異形と出会ってしまいます。
近づいてきた異形に武器を構える陸奥。そこで彼が出会ったのは、顔のほとんどを隠した不思議な女性、アサヒ。

その出会いによって陸奥は、異形に関するある真実を知ることになります。


こちらの作品は基本、陸奥の一人称で進んでいきます。
彼と一緒に笑ったりほのぼのしたり、時に切なさや悲しさで胸を痛めたり。
優しい彼の語り口で描かれる物語は、読者の胸に温かい読了感をもたらしてくれます。
出てくる登場人物たちもみんな愛らしく、そして、本当に誰もが美しい心を持っています。
どうしてそんなに優しいのかと! きっと誰もが胸を打たれてしまうでしょう。

やがて陸奥が全ての「真実」を知った時、彼はある「決意」をします。
ネタバレになってしまうので言えませんが、彼の勇気ある決断と行動は、もう是非多くの方に見届けていただきたい……!

是非この機会にご一読ください!

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