ひどく重い過去に対する自責から他人との関わりを避ける少年が、強制的に組まされたペアの少女と共に卒業試験の旅をしていくお話。彼らの実力からすれば課題は簡単、なもののはずだったのだが……。
課題に隠された大人達の意図などものともせず、しっかり、ゆっくりと絆を確かなものにしてゆく二人の恋模様がキーとなるお話。
彼の心の傷を癒やし、運命を受けとめて前を向いて歩かせるために、様々な人が尽力する。誰かを助けたいという願い。しかしそれは決して一方的なものではなく、彼が救われることによって同時に関わった人々も未来を掴み、心の安寧を得、あるいは宿願を果たす。そうして強くなった少年はついに、自分自身に立ち向かう……。
皆の願いが一人に集約され、世界が変わる。そんな輝かしい、けれど実は特別というわけでもない、地に足のついた奇跡を描くあたたかな物語でした。
魔導士クラスの少年レヴィスと、法術士クラスの少女フロート。
学園トップと言われる実力を持つ二人の卒業試験は、順風満帆かと思いきや――
友人が一人いるものの基本的に交流を好まないレヴィス。
穏やかで気を配るフロートでも、旅の中では難しいことも感じるくらいに心の壁が存在する。
試験の旅自体もなんだか気になる部分があるのに、そもそもこの二人、大丈夫か?
不安になってしまうようなやりとりではありますが、しかしお互いに問題を拒絶するのではなく、少しずつ言葉を重ね、向き合い、思いあうことで旅が進みます。
二人の旅路ですが出会いもアカデミーの人たちも魅力的で、彼らだけに閉じこもることはない。
けれでもこの二人に確かにある絆と関係の変化。
テンポよく進むイベント盛りだくさんの試験の中で、優しい二人の確かな絆を見届けてください。
きっと二人を、大好きになれるでしょう。
剣と魔法の世界、フォレスティア。
そこにある魔法のアカデミーに通うレヴィスとフロートは卒業試験のためにペアを組まされ、課題をクリアするため各国を巡る旅に出ることとなります。
過去のある出来事から人付き合いを避けていたレヴィス。フロートも彼のそっけない態度に戸惑い、なんともぎこちない旅立ちに。
しかし、旅の中で様々な出来事を乗り越え、互いの事情を知っていく内に、二人の間には強く温かい絆が生まれることになります。
この物語のおすすめポイントは、なんといっても二人の関係性です。
明かされていくレヴィスの過去は重く悲しく、人を遠ざけてしまうのも理解できてしまうほどのものです。しかしそんな過去を抱えている彼を、優しく強いフロートが行動と言葉で変化をもたらしていきます。
また、レヴィスも一方的に救われるだけではありません。フロートは家庭の事情である劣等感を抱いているのですが、レヴィスは彼女に言葉をかけて自信をつけさせてあげるのです。彼女を慰めたりピンチには颯爽と駆けつけたりと、レヴィスの優しさ格好良さもしっかり描かれています。
そんな二人が距離を縮めていく様子は、全力で見守りたくなってしまうもの。
彼らを取り巻くクラスメイトや教師陣も個性的で、どこか学生らしい「青春」をも味わうことができるでしょう。
また、剣と魔法の世界ですが、レヴィスもフロートも魔法アカデミーの生徒なので使っているのは魔法です。魔法の設定も練られていて、機転と工夫で乗り越えるバトルも面白いです。
是非注目してみてください。
物語が進むにつれ、周囲に暗い陰謀の影もちらつき始めますが、きっとこの二人ならば乗り越えられるはず!
レヴィスは過去の贖罪を果たすことができるのか。そして、二人の卒業試験の結果は?
是非、ご一読ください!
剣と魔法の世界、フォレスティア。
そのアカデミーで魔法を学ぶ「魔道士クラス」の少年・レヴィスは、「法術士クラス」の少女・フロートと組んで卒業試験に挑むことに。
卒業試験といっても、3か月で世界を巡る壮大なもの。
攻撃系の「魔道士」トップのレヴィスと、防御系の「法術士」トップのフロートの組み合わせは学内で話題を呼んだものの、旅は波乱含み。
レヴィスはある理由から人を遠ざけており、そんな彼の態度にフロートは手を焼き、「連携できるのか」と不安を抱きます。
しかし、誰にでも平等に優しく、また、バトル時には常に自分の力を最大限に発揮し、必要とあらば身を削ることもいとわないフロートの姿は、次第にレヴィスを変えていきます。
そんな変化のなか、次第にレヴィスは実は優しい人物だということも伝わってくるのです。
この物語の一番の見どころは、そんな2人の関係性の変化。
その変化をビビッドに彩るのは、バトルと友人たち。
主人公たちは魔法系なので剣はふるいませんが、彼らが相対する敵は巨大なシーサーペントやゴーレム、術士である教師たち。
剣士と共闘したり、本来は防御系の術を攻撃に転用するなど、機転をきかせたバトルは迫力満点です。
また、レヴィス唯一の男友達であるボッカ、船上で出会う対照的な女戦士のペア、レヴィスとフロートの関係をきゃっきゃとたきつけるようでいて独自の節度を持つ同級生・シルヴィなど、2人に絡むキャラクターは個性的だったり、「いい味」を出していたり、それぞれに魅力的。
とくにフロートをはじめとする女性キャラは皆、タイプが違うものの、芯が強くたくましい! 見ていて気持ちがいいです。
そんな仲間に囲まれての卒業試験ですが、なにやら陰謀の気配もあり……。
心をじょじょに通わせてきた2人が、どのように立ち向かうのか。
レヴィスの持つ問題は解消されるのか。
今後も波乱はありそうですが、きっと2人なら大丈夫。この2人がどう乗り越えるのか見てみたい。そんなふうに思わせてくれる物語です。
魔法の学校で首席を争う、魔術師のレヴィスくんと法術師のフロートさん。
卒業試験としてふたりで組み、大陸を股にかけた大冒険に出立するよう言い渡された。
どうにも気乗りしないレヴィスくんを見ながら、フロートさんはその後を追いかけることしかでぎす。しかし、あることをきっかけに、レヴィスくんをサポートすることが今回の試験の目的ではないかと考え至る。
レヴィスくんはフロートさんを危険に巻き込むことは本意ではなく、もう頼らないことを宣言するが。
若き魔法使いによる冒険活劇は、青春をこじらせた読み手に爽やかな読後感を与えるでしょう。
過去の傷ましい出来事によって人との関わりを避けていた青年レヴィスと、優しくて気が利く少女フロート。卒業試験のためペアを組んだ二人が、旅を通し、旅先での出会いを通して、それぞれ成長してゆく冒険ファンタジーです。
アカデミーでは主席であるほど優秀な二人に課せられた卒業試験は、各地の遺跡を巡るというもの。寡黙なレヴィスの態度にはじめ戸惑うフロートですが、彼女なりの気遣いを持って接していくうちに、二人の距離感や雰囲気が少しずつ変化してゆきます。
レヴィスには秘せられた過去があり、他人を遠ざけようとするのも深い事情がある様子。期せずして事情をある程度知ってしまったフロートが、この先どんなふうに彼を支えてゆくのか……二人のこれからを見守っていきたい気持ちにさせられます。
全体を通して個性的な女性キャラが多いので、背景はシリアスですが雰囲気は明るく和やかでもあり。ぜひご一読ください。