「あなたの【お隣りさん】は、きっと優しい方ですよ」

不思議な「雪降るひまわり畑」の調査に来た「陸奥さん」。
その近くには恐ろしい「異形さん」たちが住んでいました。

人間の間では「倒すべき存在」と伝えられている異形さんたち。
しかし、異形さんの言葉の分かる「アサヒさん」を通じて異形さんたちと触れ合っていくうちに、陸奥さんは言い伝えは本当に正しいのかと疑問に思い始めます。


陸奥さんのほのぼのとした、ツッコミ口調にくすりと笑い。
優しくて、ユーモラスな異形さんたちに、ほっこりします。

読み進めていくうちに、陸奥さんが調査のためにひまわり畑を訪れたことを忘れてしまい、異形さんたちとの触れ合いに癒やされていきます。

ですが、忘れてはならないのです。

陸奥さんが、調査のために来たことを。
人間たちは、異形さんたちを「悪いもの」だと信じており、冬でも花咲くひまわり畑は異形さんたちが原因だと疑っていることを。


果たして、「ひまわり畑の秘密」と「異形さんたち」には、何か関係があるのでしょうか。
そして、異形さんたちの優しさを知った陸奥さんは……?


優しい雰囲気の中に、ちくりと、心に小さな引っ掛かりを覚える物語です。
そして、それは、きっと「忘れてはいけないもの」なのだと思います。

まわりが、みんなが、そう言っているからといって、それは真実ではないのかもしれません。
――物語でも。現実でも。

「【お隣りさん】は優しい」ということに、気づかなくてはいけない。
そんなふうに感じる物語です。

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