知ろうとする努力に応える準備は、もうできているのかもしれない。

第三章まで拝読したレビューになります。

異形と呼ばれる存在が出現した世界。人肉を食らうその存在に恐れ戦き憎んだ人間は、鉛が弱点であることを発見する。銃で異形を屠り、鉛でできた柵の外へ追い出した。

そんな恐ろしいプロローグから1000年後。一年中咲き誇るひまわりを調査しに来た陸奥と、異形と心を通わすアサヒが出会う。この出会いが人間と異形の雁字搦めになった確執を少しずつ解いていく。


作品を通して「優しい」という印象を受けました。
主人公である陸奥さんの性格もそうなのですが、登場する異形がみんなチャーミングだったり、エピソード一つ一つが心温まるものになっています。

相手を知らないから怖い。かつての蹂躙が生み出した「異形は敵、出会ったらすぐに撃ち殺せ」という認識は仕方がないのかもしれない。だけど陸奥さんが知ろうと一歩踏み出した世界は、あまりにも優しくて温かいものでした。歩み寄ろうとする陸奥さんに応える準備は、もう異形側にはできているのかもしれません。

心が温まったり胸が苦しくなったり、そんな巧みな心理描写も必見です。感情移入への導線が秀逸です。ぜひ読んで、そして体験していただきたい。

異形が出現した謎、そしてひまわり畑に隠された真相、なぜアサヒさんが異形と一緒にいるのか。少しずつ解明されていくであろう物語に今からわくわくが止まりません。

寒い季節に咲くひまわりのように温かい物語です。ぜひご一読ください!

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