その日も普通の朝を迎えた。行きつけのコーヒーチェーン店で、とある老女が意味深な呟きをするまでは。
現代の日本で暮らす大学生・沙薇の元に現れたのは、美しきエルフのような男。
得体のしれない男との出会いに舞い上がるほど、沙薇の思考はお花畑ではありませんでした。私が沙薇と同じ立場でも、恐怖のあまり腰を抜かしてしまう状況です。序盤から登場人物に共感できる心理描写が多いので、世界観にすぐ惹き込まれました。
謎の男が誘うのは、沙薇にとって幻想的で懐かしい場所。そして、現代日本の常識が通用しない異世界でした。沙薇が背負った宿命の行方を見届けてください。
これはファンタジーだが、同時に、人間の複雑さを突きつけてくる。
それは別に世界を越えなくても有り得ることなのだ。
ある時には弱虫な人間が、場所を変えると別人のように自信に満ち溢れて。
ある時には媚びを売り姑息な手段をとる人間が、ある時を境に謙虚な姿を見せる。
しかし、本質が変わった訳では無い。
人の別側面を見た時、ある時は裏切られたと思い、ある時は偽善だと吐き捨てたくなる時もあるだろう。
けれど多分、私たちは、全ての姿を見つめられるほど、俯瞰的には観られないのだ。
それすら飲み込み、信頼を築けるか。
……で、もう、作者としても読者としても人間としても試されてるような物語に、いっそ読むのを辞めたくなるほど、これでもか、これでもかって叩きつけられたんだけどさ。
スピンオフがこれってどーよ、アメさんやいwwww
色々な方が作品のよきところをレビューされていると思います。私がこの作品で注目して読み進めたのが主人公のサラと、そのライバルであるマセコ——。
最初から憎たらしい、可愛げもない我儘娘のマセコちゃん。
詳しいことを書くとネタバレになるのでここに上げることはできませんが、ともかくこのマセコの魅力に終始やられてしまいました。
女子の友情って複雑怪奇。友達であり、ライバルであり、心の友。
そんな複雑な女子同士の友情をリアルに表現しているところがこの作品の魅力の一つだと私は思っています。
アメリッシュさんの作品の魅力のもう一つは、主人公も然りですが、その周囲のキャラクターの生き生きと動く姿——。
ヒロインやヒーローではない、泥臭い、人間らしいキャラクターたちに注目して読んでもらいたい。きっとお気に入りの一人が見つかることでしょう。
ある日突然、常識だと思っていたものが全て覆り、『ドラゴンの巫女』を課せられた、普通の少女だった沙薇(サラ)。
常に生命の遣り取りの在る中で、選べる道は多くない。
その中で、少女は成長し、決断する。
何を信じていいかもわからない、厳しい世界の中にもたくさんの救いがある。
目にしたことのない異世界の光景の中で繰り広げられる日常。
無駄のある会話までが、その場を空気を再現していて染み込んでくる。
そして、サラが全てをかけて掴み取ったものに、心が動かされずにはいられない。
巧みな文章で異世界に誘ってくれる、毎回が緊張と興味を誘う壮大なファンタジー。
美しいその世界への扉は、表紙を潜ればすぐ側に。
「最近、異世界転移小説って多くない?」
「うんっ、悪女に転移って多いよね……」
「異世界転生なんて、もう腐るほどあるし!」
「そうそうっ! 手垢で汚れて真っ黒だしね」
なんて、貴方!
この小説は異世界転帰ですよ。
主人公の少女、沙羅は現代で息苦しさを感じながらも普通に暮らす女の子。ちょっと変わった母親代わりの博士に育てられています。
悩み事の種は沙羅を目の敵のように敵視する、幼馴染みのマセコです。友人のようで友人でもない彼女との学校生活は、不愉快でもあり、息詰まるもの。
ですが、二人の共通点は2月29日生まれだったのです。
やがて成長した沙羅の前にあらわれた使者により、彼女は異世界へと連れ帰されます。
そこで知った自分が背負わされた業、そして全てを導く運命とは?
カクヨムにやってきて、まだ1年も経たない作者さまの新しい感覚で書かれた作品です。その筆致は、緊迫する戦闘シーンを書けば息を飲ませ、優雅な舞踏会を描かせれば目を細めるほど高いもの。それでもって、マセコとの絡みにはクスッっと笑わせてもくれます。
異世界ファンタジーでありながらも、目を潤ませるほどのロマンス小説。
是非、貴方に読んで頂きたい作品です。
昨年の10月、カクヨムで小説を書き始めて半年も経っていないアメリッシュさんが、「カクコンに10万字のダークファンタジーで参加する!」と宣言された時、正直言って「なんと無謀な…」と思ってしまいました。しかし彼女は2か月でプロットを完成して、12月1日から1月17日まで1日もかかさずに更新し、ついに完結!!
その努力に「完結、おめでとう!」と、心から言わせてください。更新の日々、読者の私も、アメリッシュさんの頑張りと物語りの内容に、ワクワクドキドキしながら元気をもらいました。
物語りは、現代の日本で育った気弱な女子が、18歳の誕生日前に生まれ故郷の異世界に連れ戻され、そこで、<炎の巫女>として覚醒していくさまが、丁寧な異世界での生活描写や淡い恋心を挟んで描かれています。
特に最後のドラゴンとの対決シーンの筆さばきは圧巻です。
もう1度、通しでじっくりと読みたい作品です。
この作品に目を留めた人は、まずレビューの多さに驚いたことだろう。
これ程多いレビューには大抵玉石混交。お返しが欲しいためだけに、作品をろくに読まずに星を付ける人が居る。
現にこの作品も物語が始まった途端に、獅子座流星群かと思うほどに星がついて唖然としたものだ。
だが、安心して良い。この作品に付けられたレビューは、どれもが実に的確に面白さの本質を射貫いた本物だ。
物語の立ち上がりには、確かに一発で読者を掴んで離さない(だいたい、透けるような薄い着衣の美女が鎖に繋がれていて、しかもドラゴンを操る巫女だなんて、反則に近い。笑笑)場面が展開するし、2転3転しながら魅力を高めていく主人公から目が離せない。
読み所は、他の方々の名レビューにお任せするとして――
ラストシーンを読んでどう思うかは、人それぞれの想像力や妄想力の自由に委ねられるところだが、私は何故か、かの名作「……ナウシカ」のラスト、オウムに跳ばされて宙を舞うシーンがうかんでオーバーラップした。 伝承された詩のせいかもしれない。
何はともあれ作者に完結をねぎらいたい。お疲れ様でした。面白かったです。
最後に、このような作品に、校正係として微力ながら関わらせて頂けたことを感謝します。お疲れ様でした。次作を楽しみにしています。
――ここではない、どこかの世界で。その少女は、ドラゴンへと捧げられる贄(にえ)であった。
その少女はやがて成長し、自らを贄とした世界を破滅へと導く――ドラゴンの巫女として。
場面は一転して、現実世界で育った少女、沙薇(サラ)。成長するとともに、現実世界との、心身ともにズレを感じていく彼女。
その彼女の前に現れた――美貌の彼、レヴァル。
エルフの血を引く美貌の青年、レヴァルに導かれ、沙薇は異世界へ。
その異世界は、かつて、ドラゴンの巫女によって、破滅の淵へと追いやられていた。
沙薇は、サラは、レヴァルの導きにより、ドラゴンの巫女となり、その世界を救えるのか?
そしてサラは、レヴァルの宿命の女として、彼を救えるのか?
これは――ひとりの女の子が、宿命(ファタール)に挑み、女(ファム)へとなる、愛と成長の物語です。
幼少の頃の記憶がなく、個性的な母親と共に日本で暮らしている少女沙薇。そんな彼女には大きな秘密が。
本人は知りませんが実は沙薇は別の世界から日本にわたってきた、異世界人なのです。
しかも沙薇の一族、元いた世界では大きな力を持っていて。同時に過去に大きな悲劇をもたらしたとして、多くの人から敵意を向けられている、訳ありの一族でした。
出来ることなら平和な日本でひっそりと暮らしていきたかった。しかし、運命は容赦なく彼女に襲いかかります。
人間の恐ろしい、醜い部分が描かれながらも、読む手が止まらないダークファンタジー。
過酷な運命はに挫けそうになるも、自らのすべきことを探していく沙薇から、目が離せません。
8歳までの記憶がなく、どこか情緒不安定だった少女、沙薇。そんな彼女が成長した時、異世界から一人の使者(イケメン)がやって来ました。
彼が言うには、沙薇は元々その世界の人間で、しかも特別な存在。そして自分は、そんな沙薇を迎えに来たと。
ここまで書くと、あとはその異世界に行き、そこで素晴らしい出来事が待っていると想像するかもしれません。しかしそれは、半分当たりで、半分外れ。やって来た異世界。いえ沙薇本来の世界で待っていたのは、自分がドラゴンの選らばれし巫女であるという事実。そしてその生まれ故に、多くの人から恐怖と憎悪を向けられているという、過酷な現実でした。
かなりハードな世界観で展開される異世界もの。ですかそれだけに、主人公沙薇の抱く感情や変わっていく姿に説得力があり、読んでいて力強さを感じます。
そして個人的に注目したのが、沙薇の幼馴染みのマセコ。とはいっても、最初から好きだった訳ではなく、むしろちょっと苦手なキャラかと思っていました。なのに話が進むにつれ、次第に彼女の存在が必要だと思っていくことに。
主人公やそのパートナーが魅力的なのはもちろんですが、サブキャラが良いというのは一つの良作の証です。
八歳までの記憶がなく、おどおどとした少女だった沙薇。
ハカセと彼女が呼ぶ、少し変わり者の母親に育てられた彼女は、十七歳のある日、絶世の美貌を持つ男性・レヴァルに出逢う。
彼の手をとり、現代日本から異世界へと旅立った沙薇を待つものとは――。
作者様が創られた異世界の設定が秀逸です!
読み進めるうちに、なるほど! と思わずにはいられません。
そして、ヒロインを迎えに来たレヴァルがまた、素敵なのです!
決して見目麗しいだけではないイイ男! これはもう、惚れてしまいます……っ!(*ノωノ)
緻密に創られた異世界で、沙薇は様々な思惑に巻き込まれ、悩み、決断し、そして――。
確かな筆致で描かれた、昨今流行りの異世界ものとは一線を画した重厚な物語、ぜひ味わってください!(*´▽`*)
ダークファンタジーとは何なのか。
そういうものを一切知らなくても、書き手が緻密に作りこんだ世界へハマりこんでいける。
読み手は、何も考えずに、ただ作者の手の上にのっているだけでいいんです。
それだけで、目の前に鮮やかに異世界が立ち上がってきます。
距離をとって、離れたところからのんびりと読むこともできますし、運命の巫女・サラとともに異世界で戦うこともできる。
多彩な読み方ができるように、書き手がブリリアントカットのごとく磨き上げた作品です。
水ぎわの戦友が書いた物語である、ということを差し引いても。
ファンタジーの宝玉であることは、間違いありません。
ま、読んでください。これまで無数の作品を読み散らかしてきた水ぎわが太鼓判を押します。
よめば、はまるよ(笑)。