高校生のころ、深夜に散歩をしたことはなかった。私は「夜、眠れたから」だと思う。ルールを破ることは、ほんのちょっと背徳感がある。真昼の町とは違う景色は、特別感がある。街灯に照らされる夜の町、夏の夜のぬるい空気。子どもも大人も寝静まった、そんなふたりぼっちの町。夏の夜は短いから。神様に会うのも、からまるに会うのも、時間があるのに足りない気持ちになる。明日が来るって言ってもさ。昼間の学校も、夜の冒険も、好きな人はずっと一緒にいたいもの。ひとりはさみしいから。ふたりで起きていたいじゃない?
始めは冒険へのドキドキ。後半からは2人へのドキドキ。眠れなくなるくらい、とっても素敵な作品です!
神様と取引して、生まれた主人公は眠ることができない。彼女は同級生の男子と出会い、何でも叶えてくれるという神様を探すことになるが……。二人の願いごとは叶うのだろうか。後半から最後にかけて、もう読んでいる方が気恥ずかしくなるやら、かわいいやらと心温まる物語。
眠れなくなってしまった体質の穂苅藍ことポカリ。もの心ついた小さい頃から、高校生に至るまで一睡も眠りについたことはない。夜は誰だってノスタルジックになり、孤独になり、不安になる。目を瞑って、眠気がこないならなおさらだ。そんなある日のこと。家を抜け出した夜に、クラスメイトの烏丸こととりまるに出会ってポカリの夜は変化した。ずっと一人だった夜の出会いは、やがてポカリの日常を塗り替えていく。微笑ましい展開と、胸が暖かくなるその先のこと。朝焼けのように、どこか優しく、そして清々しい作品です。
カクヨム甲子園2020ロングストーリー部門奨励賞作品です。神様と照り引きして、ヒロインは眠らなくなりました。夜中、神様に会いたいというクラスの男の子に出合い、日常が変わっていきます。神様へのお願いがいいです。素敵なお話でした。
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