最終話 暁天
「じゃあ俺らも帰ろっか」
そう言って鳥居をくぐると、とりまるはお面を外してこっちを見た。夜でもわかるくらいとりまるの顔は赤かった。きっと私もそうなのだろう。
「あの、言ってなかったから。――――俺と付き合ってください」
「こちらこそよろしくお願いします!」
幸せだなあ。そう思っているととりまるは続けた。
「あと、大変申し上げにくいのですが……」
「うん?」
「ずっと一緒にいれるって言ったけど、俺、夏休み終わるまでは会えません! ごめんなさい!」
「う、うん。ちなみに何で?」
戸惑いながら聞いて見ると予想外の答えが返ってきた。
「いやぁ、実は、夏休みの宿題が何一つ終わってなくてですね……」
恥ずかしそうに言うとりまるを思わず笑ってしまう。
「あはっ! とりまる真面目だねえ。いいよ、一緒にいようよ。一緒に宿題終わらせよう」
「いいの!? ありがとう! じゃあ、明日から俺の家でお願いします!」
「了解です!」
「また明日、この公園で」
公園に着くといつも通りに別れた。
いつも通りだけど昨日までとちょっと違う。
それが何だか嬉しくて、少し明るくなり始めた空を見上げて思わずつぶやく。
夜も嫌いじゃないな。
もうひとりぼっちじゃない。
ふたりの夜が今日も始まる。
Good night 霜月はつ果 @natsumatsuri
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