眩しい。とにかく眩しい。学生特有の眩しさを感じると、私は苦しくなってしまう。反射的か本能的か何なのかわからないが、自分と比較してしまうのだ。でもこの物語は、比較させる暇すらも与えない。眩しい、と最初に言ったが何も太陽の光に当たったわけではない。実物として表れてはいない"光"に私はクスッと微笑んでしまった。
実物と本質は必ずとも一致しない。百万本のバラを贈ることもあれば、道端にあるような親しみと可愛げのある花を贈る事もあるように、当人が質素主義であるかを問わず、プレゼントに付与された想いにこそ、価値が生じる。「チョコなんていらない」というタイトルには、率直でありつつ、そういった慣習的でない、本質的な愛が隠し味となっている。
すっと読めるにも拘わらず、すごくお互いの気持ちが伝わってくる作品。素直になれない二人の距離感の表し方が上手いです。普段、恋愛ものを、あまり読まない私にもぐっとくるものがありました。よき作品をありがとうございます。