概要
「共感が出来ない生き物なんです、俺は」
他人と感情を共有できないことはおかしいと、誰かが言った。もうすぐ夏が終わる。ヒマワリのような少女は今年も、あの場所で寂しい鯨を待っている。
「渡り」「52ヘルツ」「アルバム」の三題小説。
「渡り」「52ヘルツ」「アルバム」の三題小説。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!企画入賞レビュー「描かれているもの全てが美しい」
彼は「渡り鳥」であり「52ヘルツの鯨」でもあった。
その共通点は、絶え間ない孤独。
溜息が出るほど美しい文章でした。
読み終わる前から「今回の入賞これだな」と確信できるほどに。
他者との共感をまったく抱けず、人生に悲観する美大の学生が、若者らしい葛藤に苦しみながらも偶然出会った少女の無垢な心に触れ、少しずつ人間らしさを取り戻していく……内容は そんな青春ドラマです。
シナリオ自体は王道であっても、書き手の工夫次第でこうも変わるものだろうか。読めばそう驚愕できる完成度ですから。
文章の一字一句、台詞のひとつひとつに瑞々しい感性があふれ、読んでいる内にドンドン世界観に引き込まれていく筆致は…続きを読む