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- ★★★ Excellent!!!億千万のむくつけき益荒男どもの流星群
ひとり静かに勇者の到来を待つ姫君のもとに、誰よりも早く到達せんと、互いに競い駆け行く運命の元に生まれた数多の猛者どもの物語。
寓話です。いや寓話なのか? こう、何かジャンル的な呼び名でもいいのですけれど、ちょうどひとことで表せる言葉がないような感じ。そういう意味で、この作品のジャンルとして指定されている「詩・童話・その他」というのはなるほどと思いました。童話に近いその他という感じ。
タグの「マッチョ」が好きです。必見というか、読み始める前に必ず見ておくべきタグ。いや戦士たちの競争を描いた物語ということもあり、思想や信条としてのそれの意味もあるのですが、でも別の意味の方が強いと思います。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界観と死生観のマッチングが見事
タイトルの『種』といい、『宮入り』といい、オブラート薄めなのに下品な感じがしなくて、そこに高い技量を感じる。これって世界観を抜きにしてもまさに『運命』だし、『同朋を新たな世界へと!!』なんですよね。そこに和~オリエンタルなテイストの世界観をぶち込んで、正しく死生観が語られるにふさわしい雰囲気を与えている。
特に好きな表現が、『私たちは新たな世界になる』という部分ですね。世界が再構築されるという概念そのものがSF的で、かといってSF臭がするわけでもなくむしろ情緒に訴えてくるので、やっぱり良質のSF(あくまでSF)ってこうでなくちゃと思いました。そして、このシチュエーションで新しい世界が生まれて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!内側の物語
序盤からこれが何をモチーフに物語ろうとしているかには察しがつく。ただそれを修飾するイメージが「戦い」となっていて戦士達と彼らが苦難の先に目指す聖域として立ち現れる。言葉のもじりが絶妙ゆえかそれをそれとしてどこかで認識しながら読み進めることになるが、その中で戦士同士の会話であったり蘭の君による内省が響き渡り物語自体に深みを持たせている。
短編という制約の中でストーリー性を重視しながら世界観や個々の役割を説明までこなすやり方として既存のイメージをスライドさせるのは上手いし、それが押しつけたようないやらしさもなく見事だと感じました。老戦士の無骨さが良かった。モチーフ的に過去が気になるところ。見…続きを読む