世界観と死生観のマッチングが見事

タイトルの『種』といい、『宮入り』といい、オブラート薄めなのに下品な感じがしなくて、そこに高い技量を感じる。これって世界観を抜きにしてもまさに『運命』だし、『同朋を新たな世界へと!!』なんですよね。そこに和~オリエンタルなテイストの世界観をぶち込んで、正しく死生観が語られるにふさわしい雰囲気を与えている。
特に好きな表現が、『私たちは新たな世界になる』という部分ですね。世界が再構築されるという概念そのものがSF的で、かといってSF臭がするわけでもなくむしろ情緒に訴えてくるので、やっぱり良質のSF(あくまでSF)ってこうでなくちゃと思いました。そして、このシチュエーションで新しい世界が生まれていくのを見送る言葉はやはり『おめでとう』がふさわしい。
モチーフとアイディアと表現が上手く噛み合って、とても読み応えのある作品でした。

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