孤児ショタを天使って呼んでる孤児院はヤバい

今回示されたのは耽美なBLの世界だった。っていうか、百合の時はわかめ酒ならぬ菊酒だったり、罰当たりな金閣寺だったりしたのに、BLになった途端に天使系美少年とイケメン長髪で耽美に徹するとか、その辺に作者の性癖が垣間見えた気がしました。あくまで気がしただけですが。
まず世界観が良さ過ぎた。教会を母体にした孤児院に聖職者の先生という割と典型的なモチーフも、『青傘』というキーワードに込められた意味や、『天使』というあざとさ満載の言葉に込められた最もらしい理由付けでもって、スッキリと納得させられてしまう。仕事が細かくて惚れ惚れします。
また、世界と人間に深みがあって、しかも話が進むごとにそれが剥がされて別の側面を見せたりするから、一つまた一つと深みに沈んでいく楽しみがある。
特筆すべきは、高飛車だったカナタとヘタレだったフィズィの立ち位置に変化をもたらし、最後に『青傘』、『天使』といった象徴的なイメージを覆したところだと思います。青傘を空の青さに変えたところで結末。見事なハッピーエンドに喝采を送らざるを得ませんでした。素敵な作品をありがとうございます。

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