第16話真夜中に

ブー、ブー、


スマホのバイブ音が部屋に響いています。


「ウニャウ?」


腕の中のアリーナが目を醒ましかけますが、何度か撫でていると再び寝息をたて始めます。


「可愛い」


起こさないようにベッドから起き上がり、着信の内容を確認します。すると、鍵のかかったメールが送られていました。開こうとすると、スマホの画面に入り顔認証が起こりました。有り得ない程高性能な顔認証、それが今起こっています。そして、完了したのでしょう。メールが開かれました。


Mr.佐月いやミッドナイトバロン。

今回、我々のデータベースにクラッキングを仕掛けようとした存在がいる。君にはその存在の無力化及び確保を依頼したい。生憎、武器の補給をしている余裕はない。クリスタルウェポンでの戦闘をしてくれ。できる限り、殺傷は控えてくれると有難いが、必要なら殺人をしてくれて構わない。命を第一に考えてくれ。XXXXに向かってくれ。


「ははっ、大変な事になりましたね」


僕は黒衣を頭に思い浮かべ


「出ろ」


ただ一言、そう言うと僕の姿は黒衣の戦士へと変貌を遂げました。そして、窓を開けて屋根に立ちます。そして窓を閉め、屋根かれバイクへと飛びうつりました。エンジンをかけ

昨日と同じように走り出しました。ステルス迷彩が起動し目的地へと向かいました。


「ノイズキャンセラーぐらい搭載したらどうだ?バイクの音が丸聞こえだぞ」


「ガルシア、、、貴方がパートナーですか?正直な所は貴女と貴女の部下で制圧が可能でしょう?何故、僕を使うのです」


そうです。わざわざ新入りを使うメリットなど何処にもありません。それなのに、僕を使いミッションを行わせる。新人研修の一環なのでしょうか?


「いや、今回。あんたの戦闘能力が評価されてね。四人一組のパーティーを組んでミッションを遂行してもらう」


凄いのは初対面の四人をパーティーとして任務に当たらせる事ですよ。こんなの失敗しろと言われているような物です。


「安心して欲しいな。残りの三人はお前と同じ期待のルーキーさ。面識もあるはずだぞ」


面識もある三人?凄いですね、会った瞬間敵対はされなくともビンタぐらいはくらってあげないと駄目そうですね。まぁ、ヴァルキリーズ・ナイトメアの医学力で数時間で回復したのは本当に凄いですね。


「彼女たちですか?」


「知ってるな?博士の三人の孫達さ」


1つ溜め息を付き、三人と改めて面会をしました。まぁ、当たり前ですが全裸等ではなく、僕と同じような黒衣を纏っています。


「やぁ、宜しく頼むよ」


「ふん」


「宜しく」


「はぁ、私はローズ、薔薇騎士と呼ばれています。他の二人は」


「貴方に殺されかけた女よ。レイ、閃光の騎士と呼ばれてるわ」


「二人とは違って私は足を砕かれた。でも、、、(そのあとは)」


「なんです?」


「サニー、太陽の騎士」


太陽の騎士、閃光の騎士とかヴァルキリーズ・ナイトメアにしては変わった二つなですね。太陽とか閃光とか、戦乙女の悪夢と言う名前なのに本当に以外ですよ。


「一様、このパーティーのリーダーはバロン。あんただ、頑張りなよ」


「「は?!」」


文句を言ったのは三人ではなくレイとローズだ。サニーは何故か僕をただ見つめています。品定めでもしているのでしょうか。


「あんたらは騎士。バロンは男爵だろ?」


「くっ、爵位が上でしたか。ミッドナイトバロン!私達は仕方なく貴方の指揮下に入りますが、お忘れ無く。あくまでも一時的です」


「別に、使えないのなら切り捨てるだけです。生憎、命令に忠実なのはサニーだけですか、では僕は君を優先して助けるようにしましょうか」


サニーを抱き寄せて他の二人に刀を向けます。ここまで抱き寄せると、心臓の鼓動まで聞こえてきそうですな。


「はぅ、、あの、、離して下さい」


「離しても良いですが、逃がしませんよ」


上目遣いの美女に覗き込む男。端から見たらそうなりますね、僕はガルシアに叩かれました。


「色気を振り撒くな、さっさと仕事を終わらせろ!」


その一声を浴びた僕らは、音もなく闇へと消えました。


「くっ、速い」


「元は素人なんでしょ!」


「下ろしてぇ!」


「足がまた痛むのでしょ。歩き方がおかしかった。お姫様抱っこが嫌なら、担ぎましょうか?」


サニーを今朝と同じように抱き抱えてビルや屋根を跳躍しながら進んで行きます。


「ペースを落としましょうか?」


「必要ありません 」


「話しかけるな!」


随分と嫌われましたね。でもペースを合わせる必要が無いなら好都合。僕は更に加速して行きました。サニーが僕に捕まる強さを強めたことは以外でした。


ターゲットの位置は郊外にある豪邸でしたね。和を色濃く残した屋敷と言った方が正しいまであります。


「サニー、君はここに残りオペレーターをしてください。潜入は僕一人でします」


「これは」


「足の怪我は完治してないのでしょう?無理はさせられません、良いですね?」


そしてバイザーをかけ、屋敷に潜入しました。しかし、一度考えさせられるハメになりました。バイザーからスキャンしたデータが設備の異常さを物語っています。赤外線センサー、圧力センサー、サーモグラフィー。この内、サーモグラフィーは黒衣の効果で打ち消せますが他はどうしようもありません。


「サニー、データを送りました。穴はありませんか?」


「待ってて、、、駄目。穴は何処にもない。正直、死を覚悟で正面突破した方が楽かも」


確かに。今回に限り、殺傷を認められていますし、もう正面突破でも行けそうですね。


「了解です、ではご挨拶してきますよ」


「えっ?はっ?!」


屋敷に入ると、一斉に警報が鳴り響きけたたましい音が周囲に響きます。


「さて、こんばんは。ですね」



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