第14話終わって

「やぁ、Mr.佐月。派手にやられたね?」


「言い訳はしません。自己の実力の利用をまだ学ばねばならないと、改めて実感できましたので、、、支社長。それよりもマスコミの方へはどうしましょうか?」


「Mr.佐月。安心したまえ、mywifeがそこら辺をきちんとしてくれる。君は、顔もいいからマスコミ受けする事間違い無しだ。言いたいことは解るね?」


「了解です。日は短いですが、貴方の第2秘書官ですので」


つまり、支社長は此方が作るストーリーを僕に喋れと言っているんだ。顔が良いかは別としても、支社長の代理として記者会見に望むことになるのか。緊張はしないけど、間違えたら大変だ。


「お兄ちゃん!」


「榛名、、、どうしました?」


「うん、、、生きてる、生きてるぅ」


榛名は僕に抱きつくと胸で涙を流しながら泣き始めてしまいました。まったく、可愛い妹ですね。


「支社長、死者の数は?」


「テロリストの数は全員合わせて30名弱。死者は8名。重軽傷者15名、初仕事はまずまずと言った所かな?」


「ええ、それよりも後ろの方々も僕の話を聞きたいようで」


支社長の後ろでは、刑事ドラマ等でよく見る手帳を掲げたスーツの男性が立っていました。


「すみません、警視庁の松村です。まず先に、テロリストの逮捕にご協力頂いたこと感謝申し上げます」


「いえいえ、Mr.佐月も警備部として活躍しただけです。それに、既にこの土地は我がジェネシック・コーポレーションの土地です。警備部が動くのは当たり前では?」


「わかりました。では、その警備部の方にお話を聞かせて欲しいのですが」


松村と名乗った男性は僕の前にしゃがみこんで、挨拶をしました。年齢は20代後半。見た目と違って山場は越えている様にも見えます。そして、恐らくは何等かのギフト所持者です。


「警視庁の松村です。貴方がテロリストを倒した佐月さん。ですか?」


「えぇ、愚かな日本の警察に足を撃たれまして、それが無ければもう少しましな動きができたと思いますよ」


「それは失礼しました。我々警察としては、是非とも貴方が倒したテロリストの情報を教えて頂きたいのです」


「テロリスト、この団体は大半が日本人で構成されているのは見ましたか?」


「えぇ、何人もの恐らくは大学生でしょうね。すぐに身元は解るでしょう。テロリストに可鍛したのです。罪を免れる事はできませんよ。例え、学生でもね」


中々な発言をします。思わず驚いてしまいました。以外に、この松村さんは正義感が強いのかもしれませんね。


「ですが、この体育館の中を制圧していた方々はどうします?四人ですが、あれはイギリス訛りの英語です。国際問題ですよ」


「御安心下さい。それは国の上層部が何とかするでしょう。我々警察としては、貴方がどのようなギフトを持っているかが気になります」


斬り込んで来ましたね。


「ギフトの所持はしておりません。これは、基礎身体能力に過ぎませんよ」


間違いではありません。あくまでも、身体能力です。僕のギフトはギフトじゃない、あくまでも僕自身が武器なのだから。


「そうですが。お手数おかけしました」


「松村さん、貴方はギフトを所持していますか?」


「、、、僕のギフト。感謝の印に名前だけ教えましょう。僕のギフトはNacht(ナハト)です。それでは」


Nachtドイツ語で夜を意味する言葉ですか。真夜中の男爵としては、是非ともその能力が気になりますが、下手な敵対は止めましょう。支社長に迷惑をかけてしまう。


「Mr.佐月。一度、確認しようか。僕と、仕事を続ける気はあるかい?君は死の危機に直面する事は何度もあるだろう」


「そんな、お兄ちゃん!止めてください、死ぬかもしれないのに!」


榛名を心配させてはいけない。でも、僕は既にヴァルキリーズ・ナイトメアの一員です。支社長にも感謝していますし、第一。僕が死ぬことは無い。


「支社長、心配は御無用です。僕は貴方の第2秘書官ですので。それに、榛名がこの件にでしゃばる理由はありません。榛名、僕の仕事には口出しをしないで下さい」


「え?、、、お兄ちゃん?何、、、で、何でよ!心配してるだけなのに!」


「では聞きます。僕が死んだことは有りますか?榛名が崖から落ちた時、中学で爆破事故が起きたとき、そして、両親の事故の時。この内、僕は榛名を無傷で守り通しました。そして、常に傷を負っても僕が死ぬことはなかったですよ。榛名、信じなさい。僕には、嫌、僕は榛名が挙式して子供を設けて僕を伯父さんと呼んで貰って始めて、僕は死への切符が発行させるのです。だから、安心なさい」


「、、、お兄ちゃん。それ、マジで言ってるの?」


「榛名、教えなさい。誰が、「マジ」と言った言葉を教えたのですか?親友ですか?一度、殴り会わないと」


「お兄ちゃん?!大丈夫、大丈夫だから!」


このやり取りの後、皆は笑って御開きとなりました。仕事を切り上げるには早いですが、明日はマスコミとの会見があるのです。早く帰らなくては。


「お兄ちゃん」


バイクに跨がると、榛名はサイドカーに荷物を入れ、後ろに跨がりました。


「私、怖かったんだよ。お兄ちゃんが死んじゃうかもって」


榛名の頭を撫で、アクセルを吹かして帰路につきました。



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