第15話ハッキング

立てこもり事件が終了し、コメントを全た後日に持ち越した後、僕とwifeは会社へと戻った。そして、改めてMr.佐月のプロフィールを確認した。


「wife、Mr.佐月は20歳でこれだけの物を背中に背負っている。出会って2日でだが、僕は尚更息子にしたいと思っているよ」


「先ずは私達の子供を作りませんと」


「ふっ、そうだね。今夜も」


wifeとの会話は楽しい。日本人の言うデレと言うものを希に見せてくれる。でも、僕が見ているのはwifeだけじゃない。


「10歳で両親を失う。そして、妹を守るために人生の半分を捧げた。wife、僕は、そんな青年に興味が湧いたと話したね」


「はい、正に逸材でしたね。そして、鍛えていた訳でも無いのに小学生時から常に身体能力はSランク判定。学力、IQも180を越えています。会社員としてだけでも、ジェネシック・コーポレーションに必要な人材です」


そう、一般人としてもかなりの高スペック。

何処にいても、どんな仕事に就いても最高の結果を出すだろうね。そんな時だ、僕達が思いも知らなかった事が起こった。支社長室の端末に警戒を表す表示が表れ、研究開発部門のファイアウォールが破られたと言う物だった。


「一体、どこの国家だ!」


「支社長?!どうしました!」


「今すぐファイアウォールを再展開しろ。逃がすなよ、絶対にな!wife、大変な事になったクラッキングだ。研究開発部門のファイアウォールが破られた!私はすぐに下に行く。仕事の代行は任せるよ!」


僕は急いでエレベーターに向かい、地下に急いだ。しかし、エレベーターの速度はどんなに急いでいても変わらない。窓から見える風景で技術者チームが何とか最後のファイアウォールを防衛しているのが解る。


チン


扉が開いたのを確認し、博士達の下に向かった。案の定、苦労しているようだね。


「遅くなったよ。ファイアウォールの防衛、お疲れ様」


「黙れぃ!プロフェッサー!速く手伝わんか!」


「言われなくとも!」


対ハッカーチーム&僕、博士。敵はあり得ない数が侵入しようとしていた。隙間を見つけ潰し、少しずつ削除していく。何分、何時金と経過したのち、僕らの力で何とか最後のファイアウォールは守りきった。何個かのデータは逃げられないよう捕まえてある。一息はつけた。そして、ここからが本領発揮だ。


「対ハッカーチームはファイアウォールの強化を早急に。ハートチームは此方にクラッキングを仕掛けてきた馬鹿な国を調べる」


「「yes sir」」


そう、今度はやり返す番だ。




場所は変わり佐藤家に


「お兄ちゃん、大丈夫なの?」


「榛名は心配症ですね。もし、腕を怪我していたらバイクなんて運転できませんよ。それよりも、家に入りましょう」


大体一時間以上もの間、銃撃戦をし生還。自分は何発か体に受け、所々出血していましたが、既に血は止まり弾丸も摘出されています。これも、肉体が勝手に行った事であり、摘出手術等は僕自身行う時間はありませんでした。


「先に部屋に戻りますね」


「うん、わかった」


榛名から離れて自室に戻り、扉の鍵を閉めます。そして、装備を脱ぎ体から出た弾丸を落としました。


「服のせいでそこら辺に落ちて行きませんでしたからね。処分しないと」


パラパラと床に落ちた弾丸を1つ残らず片付け、近くにあった段ボールの小箱に入れました。それをクローゼットに隠し、僕は着替えを持ちました。鍵を開けて部屋から出ようとすると、目の前に榛名が立っていました。


「榛名、大丈夫ですか」


ドッ!と衝撃を胸にうけ、僕は一瞬倒れてしまいそうになりました。


「本当に、本当に、、、怖かった。怖かったよぉ、、、死んじゃうって、パパもママも、お兄ちゃんも、、、」


榛名は先程とは違って感情をさらけ出して僕の胸で泣いています。滅多に涙を見せない榛名が、泣くほど苦しんでいたと言う事を理解できずにいた自分を恥ずかしい異常に、この時憎んでいました。榛名を悲しみでは泣かせない。と事故のさい死んだ両親に誓ったのに、僕は破ってしまった。


「お兄ちゃん、、、苦しいよ」


「榛名、僕の可愛い榛名。わかった、では僕の体を見てみなさい。傷なんて何処にもありません、大丈夫。大丈夫なんです」


傷の癒えた上半身を榛名に見せて、落ち着かせます。榛名は胸や腕などにペタペタと腕を触れ、最後に笑顔を見せてそのまま寝入ってしまいました。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん、、、」


「、、、榛名」


榛名をベッドに移動し、寝かせました。明日は学校も休みでしょう。榛名自信も、休む時間が必要です。そして、僕はバスルームに向かいシャワーを浴びました。熱湯が瞬時に体温をあげ、冷水で上がりきった体温を冷まします。そして、改めて気付きました。自分に血の後が無いことに。装備に付いていた血痕、下着にもそれはありました。しかし、皮膚には無かったのです。


「榛名の為?そう思ったから?」


いくら考えても解らないと割りきった僕は寝間着に着替えリビングに行こうとしました。すると、玄関の方でカリカリと何かを削る音と、にゃーと言った鳴き声が聞こえてきました。


「いらっしゃいアリーナ。榛名のお見舞いですか?」


「ニャー」


アリーナは一鳴きすると、僕の足にすり寄り寝間着に爪を立てながら肩へと登って来ました。


「こら、痛いですよ」


「ニャーん」ペロペロ


アリーナは僕の頬を舐めて、そのままじっと僕の瞳を覗いているようにも見えました。


「アリーナ、ちょうど良いのでご飯食べましょう」


榛名が寝ているなか、僕は二人と一匹分の夕食を作りました。今回はオムライスです。榛名の分はラップで包み、メモを添えておきます。


「猫はご飯も食べますか?」


「ニャー!♥️」


まるでハグッハグッと言った擬音が聞こえてきそうな勢いで、小さなオムライスを食べるアリーナ。それを見ながら僕も夕食を食べました。


「ニャー」


僕が食べ終わると同時に、アリーナはソファーへと移動し寛いでいます。


「ふふっ」


自分の食器とアリーナの食器をかたし、榛名の分を部屋へと持っていきました。スプーンと保温水筒にいれた紅茶も添えておきます。

そして、戸締まりを確認して照明を消し、自室に戻りました。


「ニャーン」


「寝ますか?」


電気を消してベッドに入り、布団に軽い隙間を開けるとそこにアリーナが突進してきました。ほんのり温かく、サラサラした毛並みの彼女が僕の腕に頭をのせて寝息を立て始めました。


「お休み」


「お休みなさい」


穆は誰かに返事をしてもらった錯覚に陥りながら、眠りにつきました。








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