第10話ヴァルキリーズナイトメア
「やぁ、来たようだね。男爵」
「博士、君には話していないのだが」
「ホッホッホ、プロフェッサー。私は予想しただけだ、君が男爵を連れてくるのは初出勤の日だとね」
目の前で白衣に白髪のお爺さんが僕を見ながら支社長と話しています。この身体になってわかったのですが、相手の脅威度を感覚で査定しているようなのです。目の前のお爺さんからはあり得ないほどの警戒度が感じられます。
「そう身構えるでない男爵、回りを見てみろ」
凄い、見なくても解る。頭の中で警戒音が鳴り響いている。全方位、隠れるようにして僕を狙っている。
「ほぉ、ウェポンマスター。自信を武器と認識することでそこまでの能力か、結構結構、男爵。お前の力を効率よくしてみんか?」
「効率よく、ですか?」
「あぁ、男爵。お前の力は未知数だ、だがその力があれば日本は落とせるだろう!ただし!お前の命は解らん!どうする!」
別に命は惜しくない。妹の為だ、榛名の。
「了解した。では、連れていってください」
「ホッホッホ、良いだろう」
僕たちは博士に連れられるまま、とある施設に着きました。
「これはお前の為に調整したキルハウスだ。入ればクリアするか死ぬまで出られん、どうだ?これにクリアすればお前に一級品をやろう」
「わかりました、武器はアリですね?」
「勿論だ」
博士との会話を止め、キルハウスに僕は入った。中には赤い染みがそこらじゅうにある。
「ギャァァァァァァ」
バン
襲ってきた存在の頭をハンドガンで撃ち抜き、確認する。敵はどうやら人間のようだ。
でも、不思議と血がでる量が少ない。
「あーあー、テステス。男爵、そこにあるのは死体だよ。訓練用に剥製にしたのを動かしたんだ。死ねば君もそれと同じ剥製行きだ、あと武器を持ってる剥製もある気を付けたまへ」
博士が言い切る前に、僕は身体を無理矢理倒しクロスボウを回避した。そして、床にへばりつきながら、頭に弾丸を撃ち込んだ。
「陰険ジジイ」
「なんじゃと!」
それからは酷いもんだ。部屋の全てを把握できるこの力が無ければ何回死んでいただろう。光学迷彩地雷、ガンターレット、剥製、剥製に至ってはガトリングやバズーカを持ってる奴までいた。ガトリング持ちは動きが遅かったから、弾の残っているマガジンを投げ、撃ち抜き頭を爆発させた。ワンマガジン無駄にしたけど、グレネードが無いんじゃ仕方ない。バズーカ持ちはバズーカの弾頭をライフルで撃ち抜いた。今更ながら、弾頭じゃなくて持ってた剥製の頭を撃てばバズーカがてに入ったのでは?と後悔している。事実、残っている弾薬はショットガンに7発。アサルトライフルに30発だけだ。後はナイフや刀などの近接兵器。こんな事なら昨日使った分位は補給する時間貰えば良かった。
「最後はそいつだ、ワシの試作品だが倒せるかな?」
博士が用意した最終試験は3人の全裸の女だった。いや、試作品と言ったまさか、アンドロイドか?
「考える暇もないか!」
統率の取れた動きで僕に蹴り、パンチを繰り出してくる。そこで秘部が見えたり、胸が動いたりしているが、僕はそれよりも瞬きしている事に驚きを隠せない。瞬きをこんな自然にアンドロイドができるか?僕はいつしか、3人の攻撃を防御しながらそれだけを考えていた。
「博士、あの3人は」
「ホッホッホ、プロフェッサー。流石に解るか、試作品等ではない。ワシの大事な孫娘だよ」
僕は頭を抱えている。佐月君はいまアンドロイドか何かだと思って戦っている可能性がある。何かあれば、いや彼女達を殺す可能性が出ればwifeが止めにいくだろう。でも、それよりもだ。
「大事な孫娘3人を全裸にしたお爺ちゃんか。殺されても文句は言えんよ」
「なに、代金は払っとる。しかし、眼福だ、ワシの孫娘ながらナイスバディで」
このエロジジイ、佐月君は陰険ジジイといってたけど、案外僕と彼は相性が良いのかもな。いい友人を見つけた、いや尚更息子にしたいな。
「待てとは言わない。しかしな、男に全裸を見せて良いのか?」
「黙れ」
反応した、でも恥ずかしさ何て無いんだろう。顔を赤らめもせず淡々と攻撃を繰り出してくる。いや、三人目の動きが若干だが、悪くなった。
「そこだ」
瞬時に刀をだし、三人目に峰打ちをする。
「がぁ」
女とは思えない程酷い姿を晒させた事に少しは後悔しつつも、一人仕留めた事に安徳している自分がいる。
「よくも」
1番喋るのは最初に攻撃してくる奴だ。こいつの動きに他の二人が合わせている。僕は気絶している女を持ち、盾にした。
「しまった」
人質とは卑怯だとか考えているようだが、3対1の方が卑怯だ。人質を投げつけ、そのまま女に馬乗りする。
「どけ!この!」
「駄目だ」
僕の頭にはもう、これしかない。腹を踏みつけながらしゃがむ。二人目は動けない。どうやら姉妹が大切なようだ。でも、今は関係ない。僕は女の肩を外した。
「ギャァァァァァァ」
甲高い叫び声がするが、止めない。次は刀に持ち替え、峰を足に振り下ろした。
「アァァァァァァ!」
右腕は肩から外れ、右足は恐らく砕けている。足下が濡れている。どうやら痛みで失禁したようだ。二人目も震えている、それでも構えを解こうとはしていない。
「残念だ。ここまで実力差があるのに」
僕は刀に構え女に突進した、女は下段蹴りをしてくるが、上がった身体能力を利用し跳躍する。幸い天井はある。天井に足をつけ、女に向かって踏み込んだ。
「ひっ」
頭を重力と蹴りで加速した僕に掴まれた状態で地面に打ち付けられる。顎がどうなったかは知らない。怪我していないと良いね。
「倒したよ博士。出してよ」
「まだだ!ワシの孫娘達は負けて」
「ねぇ、博士。孫娘の命は大事?」
僕は、ただ淡々と刀の刃を顎を打ち付けた女の首に当てた。背中を足で抑えているし、逃げられはしないだろう。
「いっ、、、いや」
どうやら意識も有るみたいだけど、、、
「博士、開けろ。3、、、2、、、1、、、ぜ」
ブーブーブーブー
激しい音をだして回りの壁が倒れ始める。僕は刀を鞘に納め、クリスタルにしまった。どうやら元々クリスタルと一緒に出てきた武器は劣化しないみたいだ。でも、後から追加した武器は劣化する。銃もマガジンは消耗するし、、、う~ん、奥が深い。僕は今度は大剣を出し、博士に向けました。
「博士、約束は守ってくださいね」
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