第7話兄、夜に動く


「こんばんは」


「飲みに来たぞ~!」


「南雲会長、希、いらっしゃい。ワインは有るぞ」


後から来た3人を迎え入れ、リビングに通しました。


「南雲先生、希先生も、こんばんは」


「榛名さん、失礼しますね」


「榛名、ごめんね。お酒飲みたいから部屋貸してね」


「もぉ、またですか?まぁ、良いですよ。本当なら望さんと七海さんとパジャマパーティーしようかなって考えてたんですけどね」


「オー、ならのぞっちも入れようよ。恋ばなしよう!」


「佐月さん、良いですか?」


あの七海ちゃんがここまで頼むんなら、良いでしょう。ついでに朝食の下拵えもしときますか。そんな事を考えながら台所に立っていると、自分のスマホが鳴っている事に気付きました。


「はい、此方佐月ですが」


「佐月君、繋がって良かった」


ジュゥゥ


「支社長、どうしました?、、、みんなレア、ミディアム、ウェルダン、どれが良い?出来れば皆同じ焼き加減の方がありがたい」


「佐月君、もしかして料理中かい?」


「お兄ちゃん、皆ウェルダンで良いって」


僕は伝えにきた榛名に指で○をつくり、了解したことを伝えた。


「お気になさらず、それよりもどうしました?」


「悪いけど、今夜が初出勤になりそうだ。メールで位置情報を送った。家族にばれないように来てくれ。それではね」


支社長はそれだけ伝えると電話を切った。

メールには0000にとある場所に来い。それだけが書いてあったけど、直ぐに理解できた。


(殺しじゃない事を祈るか)


僕は戸棚から前に処方された睡眠薬と副作用に睡眠効果のある薬を取り出し、砕いて作った全ての料理に混ぜた。


(ウェポンマスターの能力、改めて恐ろしい)


睡眠薬の変わりが欲しいと思えば、頭で直ぐに理解し丁度な量を瞬時に計算できる。でも、僕は平和の為なんかに使わない。支社長への恩もあるし、榛名の進学もある。


「できたよ、皆残さず食べてね。アリーナは少し待ってて、お肉も入れるから」


リビングの机の上にできた料理を乗せ、先にアリーナの分を切る。


「ニャー♥️!」


「こら、まって切れないから!榛名、アリーナを」


「うん、アリーナ行くわよ」


「シャァァァァ!」


アリーナは威嚇しながらも、榛名に抱き抱えられおとなしくしている。相変わらず賢い猫だよ。


「ほら、良いぞ!」


「ニャー!!!」


ハグハグ!ともの凄い勢いで作った料理を食べる猫、可愛い。


「私達も」


「「「「「頂きます」」」」」




今は7時。効果は大体10時には効く。それだけ薬用は効果が高い。後はどうなるか。

食事を終えると、皆風呂に入って榛名達は自室に。僕、南雲会長、希はワインを飲んでいた。


「う、、、ん、、眠いわね」


「そうですね、先輩もお疲れ様ですから。佐月、部屋ある?そこで先輩を寝かせましょ。と言うより、私も眠い」


「客間が空いてるから二人で寝てくれ」


僕はそう言うと、希と南雲会長を客間に連れていった。布団を2つ準備すると、僕を閉め出した挙げ句、鍵を閉められた。


「はぁ、」


榛名達の部屋も確認し、自室に戻る。大体11時を回ったのを確認して、正面から家を出た。ガレージに行き、バイクの前に立つ。


「でろ」


黒衣を頭に浮かべてそう言うと、僕の姿は黒衣に包まれる。そしてバイクに股がり、目的地に向かった。


「来たか、新入り」


「僕を知っているとなると、先輩と言うわけですか。それとも、敵?」


「先輩ね、私はガルシア。狼子爵と呼ばれている、宜しくな真夜中男爵」


「少しお待ちを。その真夜中男爵とは?」


「あんたの暗号名だよ。ミッドナイトバロン、この話は終わりだ。ターゲットが来るよ」


「ほぉ、あれは有名政治家が支援してる団体の」


「あれを奪う」


今回のターゲットはとある慈善団体のロゴが入った車両の奪取でした。セダンタイプの黒い車両、まったく政治家といったらこれって感じですね。


「そう、裏でコソコソ悪どいことしてるし、その金でうちの表の邪魔をしてる」


「つまり、商売敵と」


「まぁね、バイクの運転は任せるよ。私が飛び乗って車両奪う。奪ったら私の部下に車を渡して任務終了。殺しはなし良いね?」


「了解、ガルシア。行きますよ!」


僕はガルシアが後ろに乗ったのを確認し、バイクのアクセルを吹かして、全速力で車両の追跡を始めました。


「そう言えば、監視カメラとかは大丈夫なんですか?」


「はぁ、プロフェッサーめ。黒衣には監視カメラに認識されない細工がしてある。今のバイクもそうさ、あんたが黒衣を着ている限りそのバイクもカメラには映らない。」


「それが黒衣のもう1つの効果、素晴らしい。それよりも、近付いて来ましたよ」


「そうだね!もっと寄せな!」


「ラジャ!」


僕はガルシアの指示に従い、ぶつかるスレスレまでバイクを近付けました。すると


「らぁ!」


「なんだ!うっうぁ!」


バイクの後ろからセダンのボンネットに飛び写り、フロントガラスを割って中の運転手を外に投げ出して来ました。


「あらら、派手な事で」


僕も車両の左隣に付け、助手席のドアをショットガンで撃ち壊して


「なんなんだ!まっ、やめてぇ!」


中にいた男性を引き摺り出しました。

そして後部座席に乗っている人達に銃を向けながら走行しています。


「一旦止めるよ」


「了解です、ガルシア」


ガルシアが路地に車を止めると後部座席にいる二人組を無理矢理地面へ下ろし、


「あんた等の運んでる物を寄越しな。でないと、あの男に殺されるよ!」


なんと丸投げです。


「嫌よ。これは私達団体に必要なもの、これがあれば数多くの子供が救えるの!」


「ちょっと待って下さいよ。では、それはワクチンか何かで?」


「えっえぇ、新型の抗生ワクチン。うちの団体が支援を受けて開発した物よ」


「奪いはしません。アタッシュケースの中身を見せて貰えませんか?」


僕はショットガンではなくハンドガンを構え、怯える女性にアタッシュケースを開くよう依頼しましたが、ますます怯えさせてしまいました。


「ごめんね」


「イヤァ!」


アタッシュケースを無理矢理奪い、鍵の部分に発砲して抉じ開けました。中身は緩衝剤に包まれた注射器3本、そして文書です。


「何々?新型ウイルス兵器における使用上の注意?」


「うそ!寄越して、、、新型ウイルス兵器。通称ネメシス。これは爆発的な増殖力を有し、人間だけでなく動物、植物への感染も認められた致死率の高い新種ウイルスである。使用には注意されたし、また増産計画に関しては、、、」


女性は書類を僕の方に投げると、ただ泣いていました。


「嘘よ、嘘よ!私が、私が作ったのがこんな悪魔の兵器だなんて!ねぇ、貴方は知ってたの!話してよ!」


一緒に乗っていた男性の胸ぐらを掴んで叫ぶ女性。流石に忍びなくなった僕は女性をガルシアに任せ、男性を貰いました。


「話してくれませんか?」


「誰がお前に」


パン!


「あっあぁぁ!なんで!なんで撃った!」


「話してよ、ほら」


さっき僕はハンドガンで男性の右足を撃ちました。そして、今は目の前でハンドガンをちらつかせています。


「さっきは敢えて動脈を外しました。でも、次は解りませんよ?ほら、」


「○○さんの資産の為だ!次の政治資金にする腹だ!命令書とデータなら車の後部座席の下にある!それで良いだろ!」


「ありがとうございます」


僕はそう言うと男性の腹に本気の蹴りを入れました。男性は少し悶えた後、動かなくなりましたが、脈はあったので生きてはいるでしょう。


「ガルシア、有りましたか?」


「おう、当たりだ。これであの糞政治家はおさらばさ」


「それは良かった。それよりも、そちらの女性はどうしますか?僕達はこのデータをばら蒔き、ウイルス兵器は処分する気ですが?」


「信じて良いの?」


「まぁ、、、ヴァルキリーズ・ナイトメアは基本的に殺しはしないので」


「そう、信じられないわね。だから、私も着いていき、そのウイルス兵器の処分を見届ける。私にはその義務がある」


あっと、、、面倒なタイプの女性ですね


「ガルシア、後は頼みましたよ。そこの方々も、後は頼みました!」


「ちょ!バロン、待ちな!」


「ガルシア、僕は任務を達成した。それで良いじゃないですか?試験は合格でしょ?」


「うっ、、、」


「だから、その女性は頼みましたよ!」


僕が去ろうとすると、


「待って!」


と声をかけられました。


「私は早乙女里津。貴方は?」


「バロン、ミッドナイト・バロン」


「待ってぇ!行くな!」


「それじゃ!また、いつか」


僕は直ぐにバイクを全速力にしました。後ろで叫ぶ女性の先輩から少しでも離れる為に。




















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