第2話兄、面接を受ける

「時間は、、、間に合うね。」


目覚ましをセットしなくても、僕の体内時計は時間に正確なようです。午後2時、僕は大学の入学以来着ていないスーツを着用し、身嗜みを整え目的地に向かいました。住所は電車で行けばすぐ近く。午後3時前には到着するはずです。しかし、いきなり面接とは変わった会社ですね。


「住所はここのはずなのですが、あれ?」


記されていた住所は廃屋と言っても差し支えない程の民家でした。ここ数年人がいないと言うレベルではなく、数十年は住んでいないそんなレベルです。


「悪戯?でも、、、」


僕は恐る恐る民家のインターホンを鳴らしました。


「はい、どちら様でしょうか?」


「はい、斎藤佐月という者ですが此方はジェネシックコーポレーションで間違いないでしょうか?」


「斎藤様、お待ちしておりました。どうぞ、御上がり下さい。」


ジェネシックコーポレーションとはどんな会社なのか、正直解りませんが僕は好奇心に負けて玄関に入りました。


「えっ?」


玄関から先はまったく違う世界でした。廃屋と大差なき民家とは裏腹に綺麗に整えられた靴や、骨董品の数々。通路もやけに綺麗でまるで新築のようでした。


「斎藤佐月様ですね。支社長がお待ちです。どうぞ。」


「はい。」


ベージュ色のスーツを来た女性に連れられ、オフィスに通されました。そこには書類の山に埋もれた男性が、しかし、大きな存在感を出して座っていや、座していました。


「失礼します、支社長。斎藤様をお連れしました。」


「有り難う、Mywife.そして始めましてだねMr.佐月。座りなさい、話をしようか。」


「始めまして僕は」


「ノンノン、必要ない。君は僕を知らなくても、僕は君を知っているからね。」


「?!」


知っている?それは一体。


「我々、ジェネシック・コーポレーションは世界的な大企業さ。あまり表には出ないけど、製造会社と思ってくれて良い。」


「製造会社ですか?一体どんな製品を?」


「ロケットから、武器、薬、まぁ手広くやっている。でもね、、、解るかな?」


「まさか、売る相手は選んでない?!」


「まぁ、そうだね。非合法な相手にも裏では売っている。でも、それだけじゃ無いんだよ。我々は、ギフトを作り出し与える事ができる。そして、悲願である世界征服の為に動いている。」


「えっ?今なんと?」


僕は耳がおかしくなったのかと錯覚を受けました。しかし、なんど聞き直しても答えは同じ世界征服。


「何故、そんな愚かな事を?」


「愚かと言うかい?」


「言いますよ、ギフトが作れると言っても世界に何れだけの国があるか理解していますか?国の中には軍隊がある。不可能だ!」


「まぁ、落ち着きたまえ。君には妹がいるね?」


「いますが、、、まさか!」


「勘違いしないでくれ。君の妹は聖女学院へ推薦されているが進学費用が足りない。わが社で働けば簡単に数百万円が稼げる。それが続けば君達家族は何不自由なく暮らせる。どうだろう、ジェネシック・コーポレーションは世界征服の為、君は妹の為、手を組まないかい?この手をとるんだ佐月君。この手は誰にでも差し向けるものじゃない。君だから差し伸べるんだ。」


僕は考えていました。これを国に報告してもどうせ信用はされない。むしろ、嘘つきと言われて笑い者にさせるのが落ちです。なら、手をとって妹の幸せな人生を僕は取ります。


「決まりだ。これに触りなさい。」


支社長から黒い箱を受け取ると、体に激しい変化が起こりました。


「おぉ、あなた!」


「wife、佐月君は逸材だ。」


身長は変わらないのですが、筋肉がでてまるでアスリートのような体になりました。


「これは?」


「ギフトが与えた副作用だよ。佐月君、君はどんな贈り物を受け取ったんだい?感じるんだ、自ずと解るはずだよ。」


「、、、感じる?」


ただ、言われるまま感じる事にしました。すると、体を囲むようにクリスタルの様な武器が浮かびました。


「これが君のギフトか、触れるかい?」


「はい、」


ファンタジー小説である剣に触れ軽く振り回してみました。剣なんて一度も使った事の無いはずなのに、体は簡単に扱えました。他の武器もです。槍、大剣、双剣、銃、使った事の無い武器なのに体は使い方を知っていたのです。


「フフッフフフハハハハハ、君のギフト。名付けるとしたらウェポンマスターだ。」


「ウェポンマスター?」


「さて、今はこれだけだ。追って通達する。今は帰りなさい、明日からは出社してもらう。今、君の頭にジェネシックコーポレーションの日本支社の場所をインプットした佐月君、君は経理部だ。」


「了解です支社長。」



これが運命の分岐点なのでしょうか、ただ確実なのは明日から、僕の二重生活がスタートすると言うことです。










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