妄想飼育日誌

作家志望のジョニーウォーカー（50年物）は、独り立ちできないままアラフィフを迎えていた。

相棒の白ワニ（サメのぬいぐるみ）を肩に乗せて今日も文机に向かうが、自粛生活で時間だけはあるのに書く気が起きない。

登録してみた投稿サイトでは、悪癖が災いして読者にマウンティングされる始末。絶えず勃発する同人（同じ趣味を持つ者）同士の蹴落とし合いに疲れ、日課である植物の世話と水生植物のボウフラ撲滅活動で時間をつぶしながら、忙しいふりをしている。

要は書けない理由を、書かない理由に置き換えているのだった。

しかし夏が近づくと、いつまでも化石のようには過ごしていられなくなった。


初夏の候、動植物の成長は目覚ましくなり、短命な夏を謳歌する準備が始まる。

自粛生活でなまりきった体に、異常気象による日…続きを読む