生き残り

6月某日、いつものように蓮の鉢のボウフラをすくって集め、家族が育てているメダカ(屋外)に与えにいった。


鮮やかな彩色の火鉢、中はとぐろを巻く水草で底が見通せない。満水に張った水が腐っていることに気づいたのは、ボウフラを全部空けたあとだった。


いつもなら水面近くを泳ぐ数匹のメダカを確認してから蚊の幼生を放流するが、その日はいない日もあるのかなと思った。ボウフラを放した時に一匹上がって来たので、いたいたと思ったのか、でも、持っていた冷茶碗(フチ欠け)を何度か水にくぐらせて手が濡れた後に、鼻をつく異臭がした。


ボウフラどころじゃない。


傷んでいるのは水か、水草か、中身と水を別々に安全に処理しないと。そんなことがぐるぐる頭を回って大仕事になった。

着ている服は洗濯になるな、とあきらめた。


メダカは一匹を残して全滅していた。


その一匹を、育てている蓮の鉢にとりあえず避難させることにした。



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