模様替え

環境変化①


メダカばかり気にしていたら、蓮の種をくれた知人からの「花芽が出た」という知らせに、うちの蓮がすこぶる調子が悪いことに気づいた。


去年は青々と茂った葉っぱで水面が見えないくらいだったのに、今年の葉の様子は息も絶え絶えだ。


植え替えの時に鉢を大きくしたのに?


今年の花はあきらめるとして、もらいものだし枯らしたくない。それに葉っぱが水面に陰を作ってくれないと、メダカが茹って死ぬ。


一気に深刻な話になってきた。


イチかバチか土を減らして、水位を上げてみることにした。成長期に根をいじくりたくないけど、不用意に肥料をやって水質が変わるのも怖い。(メダカ縛り)


高い水温と直射日光が好きな蓮に、たっぷり日を当てたいけど、葉が増えないとそれも無理だ。(メダカ縛り)


傷んでる根を取り除いて、土を捨て、植え戻した。根が傷んでいたせいか土がにおう。新鮮な水にしたかったが、水合わせの問題があるので、元の水と汲み置きの水の半々にした。


蓮と格闘している間、メダカはかつて仲間と暮していた大火鉢にいてもらった。


生き物のいなくなった火鉢は私がもらい受けて、汲み置き用の水瓶にしている。水合わせをしてその中で待ってもらうこと、数時間。


模様替えの終わった住処に戻したら、


「ここはどこ!?(私はだれ/誤植)」


挙動不審になった。そういえば、白くて深い火鉢の方で寛ぎきっていたよな、おまえ。

落ち着かない様子で、テラコッタの鉢の内周を壁伝いに繰り返し嗅ぎ回っている。


まるで犬そのもの。


そのうち円周を教えてくれそうな抜き打ち検査ぶり。いつまでも落ち着きなく、周回軌道するだけで鉢の中央に行こうともしない。

だいぶ経った頃、気が済んだのか、ぷかーとど真ん中でヘリコプターみたいに静止している姿を見た。


また無精卵を生んだので、オスを娶ることに決めた。

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