卵食

卵食


猛然と調べた。

卵食はあるらしい。味を覚えると繰り返すようで、そういう個体を見つけたら(口に卵の糸が残ってたりする)隔離するのがいいそうだ。


一匹しかいねぇから、それは無理な相談ですことよ。


見向きもされない無精卵を片付け、卵を産み付けられる浮水草(ホテイアオイ)を試しに入れ、どうやって防ごうか頭をひねった。


卵を失ったメスは次の朝には再び産卵した。


これ以上、味をしめさせるわけにはいかないだろう、と小筆で卵を外すことにした。

しかし、なんかいつもより卵の量が少ない。

朝発見した時には、すでに半分くらい減っていたような気がした。


メスは卵をぶら下げている間は産卵をしないが、取り去ると次の日には生むようだった。


朝、私は起床してしょぼついた目でベランダに出て、硝子碗でメスだけをすくって筆で卵を採る。


その度にメスがびちびち暴れて、これが日課になったらメダカにとってストレス要因だぞ、と不安が顔をのぞかせる。魚に髪があったら確実に十円ハゲになるやつだ。


三日続けて、産卵された卵を採取し続けた。卵は減って戻ってまた減ったりしたが、四日目の朝、採取してないのに、またもメスの腹がつるんときれいだ。


この三日、卵食するタイミングはほぼないはず、仮にここへ来て一気に平らげるとか、ちょっとあり得ない。


気づいてホテイアオイを引き上げてみたら、根っこにいくつか卵が引っかかっていた。


いや、くっついてる数が断然少ないのだが、でも、水草に生みつけることをし始めたようだ。毎朝、水から引き揚げられて卵を盗まれるのが相当いやで、学習したっぽいと思った。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る