第26話 初体験
「あー……やばい、食べ過ぎた」
「ほんとだよ。まさかおかわりするとは俺も思わなかったわ…」
「すごい食べてたねー」
「ポテトメガ盛りを一人で食べてた。若さってすごい」
レストランで腹ごしらえを済ませた俺たちは、二階にあるゲームセンターに移動していた。……なぜか隣に陣取っている空さんは俺の腹をふにふに掴んで遊んでいる。やめてください中身が出ます。
「さって、じゃあ何やる? みんなでやろうと思ったらレース系かエアホッケーとかだけど……なにやりたい? 」
「大地、本気でいってる? 」
「ん? 」
「相変わらず大地はそういう所だめだよねー」
「な、なにがだよ」
「ソウダソウダー! 」
「待て、絶対優斗も解ってないぞ!? 」
そんな事無いし。ゲーセンに来たらまずアレだろ? わかってるわかってる!
──だめな男達を無視して空さんが先導してゲーセンの奥に向かう。あれかな、シューティングゲームがな?
「ゲームセンターに来たらまずは記念に一枚でしょ!」
「そう、大地とは来るたびに撮ってるのになかなか解ってくれない」
『あー……』
そうして二人に連れてこられたのは様々な長方形の箱が立ち並ぶエリア……そう、プリクラエリアだ。
「だって俺たちだけだと入れないしなぁ……」
「俺なんて今日初めて来たぞ」
プリクラエリアはカップルか女性しか入れないゲームセンターの聖域。彼女なんていない俺には縁もゆかりもない場所だが…まさか来る日が来ようとは。
「え、初プリ!? これは気合い入れて台を選ばなきゃー!」
「空ねえ。これ美白効果2倍だって」
「こっちがスタンプが400種類だって! 」
俺たちは放置されて女性陣は大盛り上がりである。でもまあ、なんというか……。
「……楽しいな」
「お、ようやくその言葉が出たな」
俺がつい呟いてしまった言葉に大地が反応する。聞かれてしまったことに気恥ずかしさを覚えるも、本当の事なので否定したりはしない。
「いきなり空ねえを連れてきたのは悪かったけど、結構面白い人だろ? 」
「おう、なんか見てて元気になれるタイプの人だな」
「しかもおっぱいでかい」
「茶化すなよ……まあ、かなりコミュ力あるよな。デブな俺にも普通に接してくれるし」
まあ、ほっぺたつついたりお腹を揉んでくるのは正直やり過ぎだとは思うけど。それでもさっきは楽しい時間を過ごさせてもらった。
「空ねえは見た目で人を判断しないからな。それに、どうせ遊ぶなら人数が多い方が良いだろ? 」
「まあ、今回ばかりは同意する。お前らにまたカップル特有の雰囲気出されてたら死にたくなってただろうし。……だけどこれからは事前に教えといてくれよ? 流石に心の準備が必要だからな」
「悪かったって。……今まで絡んで解るだろ? 俺が空ねえに勝てないって」
「完全に力関係が出来上がってるもんな……刃向かおうとすらしてないし」
「あの人には勝てんぜ……」
などど大地と話をしていると、空さん達が走って戻ってきた。
「あっちに落書き機能今までの4倍増えて美肌機能が今までの50倍になった機種があったの! 」
「すごいの! ぜひそこで記念プリした方がいい! 」
「わかったわかった。優斗もそこで良いか? 」
「俺は皆に任せるよ」
俺にプリクラの善し悪しなんて分かるわけもなくすべて女性陣にお任せする。というか50倍ってなんだ、おしろい機能かなんかか?
大地が山中に、俺は空さんに手を引かれて連れて行かれる。ほんとこういうさりげないボディータッチはやめてほしい。めっちゃどきどきする。
その後、プリクラなんて解らない俺は大地や空さんに教えられながら初プリとやらを済ませた。あれだな、プリクラって密室状態の中あんなくっつくんだな……なんてエロいゲーム性なんだ……。
「ちょ、俺の額に変なスタンプを押すなよ! 」
「大地にはもっとハートを添えて可愛く」
「お前は俺をどうしたいんだ……」
「できたー! 」
狭い画面に四人集まって落書き済ませると、筐体の下からプリクラが出てきた。
「はい、これ優斗君の! データは後で送るねー」
「あ、ありがとうございます」
空さんが俺に出てきたプリクラをくれた。プリクラの中の俺は、言われるがまま笑顔を浮かべているがそれでもすごく楽しそうにしている。それに大地や山中、空さんもすごい笑顔で見ているだけで幸せな気分になる。
「さて、これどこに貼ろうかなっと」
「筆箱おすすめ」
「スマホケースー!」
「財布に入れるとかはどうだ? 」
スマホケース……流石に表に貼るのはどうかと思うけど、中なら人目につかないしいいんじゃないか?
俺はそう思ってスマホをを取り出す。すると、画面に触れたせいか待ち受けが表示されてバナーが目に入った。
『Emergency!! 』
『Emergency!! 』
『Emergency!! 』
『Emergency!! 』
「……は? 」
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