第12話 ジムに来たよ!
「おー!! 200円なのにかなりマシーンあるんだな! 」
気を取り直して三人でジムに向かうと、思った以上に広いし綺麗で筋トレマシーンがたくさんあった。
「ここは市内でも一番新しいジムだからな。マシンの種類も多いしフリーウェイトもある。だから俺もたまにここで筋トレしに来てる。安いしな」
「私もたまに」
思いのほかしっかりとしたジムに若干興奮しながらもとりあえず大地について行って受け付けを済ませる。
手慣れた様子で受付を済ませる大地と山中に、いろいろ聞きながら新規利用の受付票を記入していく。市内なら住所と年齢が分かる物を見せればすぐ利用できるらしい。
「よし、じゃあ着替えたら受付近くで待ち合わせな」
「うん、わかった」
荷物を担ぎ直して女子更衣室に向かう山中を俺は目で追いながら大地に聞く。
「なんか口数少なくね? あれか、俺がいるから若干不機嫌なんじゃないのか? 」
「んなこたねーよ。お前と行くって言ったあとに行くって言い出したんだから。口数少ないは元々だ」
「ならいいけど」
恋人なんていたことないしそういう男女な付き合いはさっぱりわからない。俺のせいで二人の間がギスギスするなんて避けたい。
そんな俺の考えがわかったのか、なぜかため息をつきながら俺の背中を軽くたたく大地。
「あのなぁ、そんな溝作らんでもいいだろ。少しずつ仲良くしてくれよ」
「でもよぉ」
「そんなんじゃあれが出来ねえだろ」
「あれ? 」
はて、親友の彼女と仲良くなると出来る事ってなんだ?
「ダブルデート。お前に彼女が出来たら一緒に行きてぇと思ってるんだからな? 」
若干照れくさそうに笑う大地に、俺は胸からこみ上げてくるような嬉しさについ頬が緩んでしまった。
「そうだな、彼女が出来たらダブルデート行きてえな! 」
「おう、そのためには痩せることと瑞希と普通に仲良くすること! わかったな?」
「おおう、なんとか頑張ってみるけど……」
「頑張ってみるけど? 」
「何話していいかわかんねぇよ」
今時の女子高生は何が好きかなんか全く分からん。あれか? タピオカか?
「ああ、瑞希はラノベ結構読むぞ」
「まじで!? じゃあ今期アニメ化したラノベの事聞いてみよ! 」
なんて話をしながら男子更衣室に向かって行く。余談だがこのあとラノベの話をしたら結構趣味が合うことが判明。良いよね、骸骨帝王様。
───────────
「……」
「そんな気にしなくても誰も見てないっての」
「ならなんでお前もそうしなかったんだよ……裏切り者っ! 」
「いやいや、俺はトレーニングウェア持ってるし」
「何揉めてるの? 」
手早く着替えを済ませた俺と大地は、受付近くにあるベンチに座りながら小さな声で言い合いをしていると、山中が合流してきた。
「いや、こいつトレーニングウェア無いから体操服なんだけどそれが気に入らないみたいでさぁ 」
「気に入らないって訳じゃないの! 浮くのが嫌なの! 」
「あー」
そう、俺は高校の体操服で大地はなんかおしゃれなトレーニングウェアなのだ。で、合流した山中も可愛いトレーニングウェア。なんならジム利用している人みんなトレーニングウェア!!
事前にメッセージに書いてあった必要な物には運動に適した服って書いてあったから体操服にしたのに、まさかの裏切りだ。
「今は居ないけど、体操服とか部活のジャージ着て来る奴とかいるから気にすんなって! 」
「うん、私も気にしなくてもいいと思う。服を見せに着てるわけじゃないし」
「……まあ、そりゃそうか。じゃあ気にしないでおく」
「ほんと自意識過剰デブだなお前」
「うっせばーかばーか! 」
まあ、たしかにわざわざ服装見て笑いに来る奴なんていないかと気を取り直してベンチから立ち上がると、大地の案内でジムの中に入っていった。
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