ためいきの街

主人公のエリは絵を描くことが好きな中学生。双子の妹であるマリといっしょに美術部に所属している。
その夏、マリはエリを裏切った。エリの描いた画に自分の名前を書いてコンクールに出品し、その作品が賞をとったのだ。
ただ楽しく画を描いていたエリは、マリの行動が理解できなかった。
ふたりは同じ世界を観ている。そう思っていたのが自分だけだったと知り、エリはショックを受ける。

心は沈み、大きなためいきをつく。
ためいきとともに、歌がきこえてくる。

空をみあげて
ためいきをついてみて
すぐにみえるはずよ
あの街が……

きこえてきた不思議な歌に導かれ、エリは若い頃の父が描いた『街』に迷い込む。
街は時間を止め、風に削られ、今にも朽ちようとしていた。
そんな街に開拓者として招かれたエリは、情報屋と名乗る少…続きを読む