第11話 床から手



 探索を続ける。

 廃墟内の廊下を歩いていると、床が抜けている箇所があった。

 ここは一階だから万が一床が抜けて、落下してしまってもそれほど大けがをするわけじゃないから、大丈夫だとは思うけど……。


 自ら率先して足ズボの罠にはまりに行くほど、僕は物好きじゃない。


 だから僕達はその穴を避けて先に進んでいくのだが、横を通りかかった時にそこから白い手が伸びてきた。


 バンッ。


 とか音を立てて、手が床を叩く。


「うわっ」


 驚いた僕は思わず転びそうになったが、あいつが背中を支えてくれた。


 礼を言おうと思ったけど、それどころじゃない。


「おぉぉぉぉ……」


 怨嗟の声を発した何者かが、穴から這い出てこようとしていたからだ。

 長い黒髪が見えてる。

 あ、髪の間から恨めし気な目が……。


「に、逃げるぞ!」


 すると女の子が空気を読んだ発言をした。


「怯えないと失礼ですしね」


 いや、怯えてあげてるわけじゃなくて本当に怖いんだが。

 

 意外とタフだな女の子!


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