第17話 化け物



 早く本物を探そう。

 そう思ったとき、室内に異変。


 空気がひやりとして、ピンと張り詰める。


 僕は首をめぐらせて、背後をかえりみた。


 いつからそこにいたのだろう。

 窓の近く。振り返ると、そこに何かがいた。


 オォォォぉ……。


 多数の骸がつながった何か。

 亡霊らしき何か。


 その存在は異様に手足が長くて、それが怖かった。


 作り物とは思えないクオリティの体で、のったり前進しはじめた。


「ばっ、化け物っ!」


 突如音もなく室内に現れた化け物は、ゆっくりとこちらに向かってくる。


「ちょっ、お、おいっ」


 こんな危機的状況に人間が出せる声なんて限りがある。

 音量最大で悲鳴を、なんてとっさにできる事じゃないんだよ。怨霊相手なだけに。


 どこからやってきた。

 あれスタッフか?

 それとも本物!

 んなわけあるか!


『たーす、け……』

『みち……ずれ』

『……にたくない』


 しかも、なんか無数の怨霊の声がそこら中からきこえてきて、俺達に語り掛けてるし。


 マジものの心霊現象じゃないのか!?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る