至宝なる執筆

 あらゆる点で完璧な文学作品。
 小説は、それに触れた人々を作者と読者に必然的に分けてしまう。にもかかわらず、本作は作者と読者がああした形で世の理(ことわり)を超越する。少なくとも私の心の中ではそうなった。
 恐るべき衝撃を予期しつつも、早く先を読みたいとかきたてられる筆致には逆らえない。そして気づくのだ、自分自身が主人公と一体化していることに。最初の一文字目を読んだ瞬間から。
 必読本作。

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