その想いは花となり、いつかはだれかに届くだろうか。

9000字弱の文字で描かれた、絵画のような映画のような物語。
架空の病を扱ってはいますが、それに向き合う姿は現実味をともなって、読む私たちの心へと迫ってきます。春に咲き誇る桜の花を見て、私たちは二人を想い出すのでしょう――、
と、ここに私は物語を『届かせる』ことの真髄を感じました。

だれもが夢を叶えられるわけではない現実の中で、物語が、あるいは絵が、そういう想いがあふれて、窒息しそうになることもあるでしょう。きっと、だれだって。
書き続け、描き続けることで、それはいつかだれかに届くかもしれない。

多くの方に読んでいただきたい、美しい描写に彩られた凄絶な物語です。

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