紙面に咲き誇る彼女の花

憧れの先輩との再会。気軽い問いをするつもりが、返ってきたのは予想もできない一言。そこから始まる二人の同棲生活。
衝撃的な架空の病気を美しく、激しく、丁寧に、リアルに描いていて、それに蝕まれる人間の内側と、それに寄り添う人の想いを緻密に繊細に綴ったお話は読みながら胸が潰れるほど熱くなりました。
先輩の文字に込める激情の生々しさは、まさに命を散らして書いていると……。このお話は物語であると同時に、彼女が生きていた証でもあるでしょう。読みながら泣いてしまいました。悲しいわけではありません。先輩は最後まで激しく美しい方でした。だからこそ、胸が熱くなり涙しました。ただし、あくまでもこれは私が感じたことです。きっと、このお話は読む人によって感じ方が異なると思います。
物語ですが、人生です。
彼女の人生と、彼の想いと、残されたものを見て感じることは人それぞれ変わると思います。ただ明確なのは、彼女が確かにそこにいたということ。そして彼の想いの深さ。
二人が過ごした日々は、綴られた想いは、残された想いは、是非ご自分の目で確かめてください。この儚くも豪快に咲き誇った壮絶な人生は、きっと美しい花を見た後のように頭蓋の内側に印象深く残るでしょう。

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