概要
月夜に魅入られた、青い時間の中で
幼なじみの月夜は、浮世離れしている。
儚げで寂しい、月のようなひと。
僕はそんな彼女を憂いている。
綻びのない永い夢のような彼女のことを。
儚げで寂しい、月のようなひと。
僕はそんな彼女を憂いている。
綻びのない永い夢のような彼女のことを。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!果てしなく巨大なものと、少年少女との物語
静謐な色、月光の音、そんなものが降雪よりも静かに響いて瞼の裏に浮かび上がるような、詩的で美しい序章からこの物語は始まる。月夜の光に照らし出されて、波璃のように輝く硝子の筆が踊る。物語を綴る。ひたすらに綺麗な、絵画のような景色。
しかし現実はそうは行かない。独特で綺麗で、まるで欠けた月と傾いた陽のような距離の二人は、知らない間に、少しずつ、少しずつ綻んでいく。或いは、最初から綻んでいたのかもしれない。人生なんて、生活なんて、そんなことばかりだ。
それでも、ただ、無責任で妄信的なまでに「大丈夫だ」と──そう、叫ぶのだ。
静寂の中にインクを一雫零すみたいに、声高に。
──まるで、自分に…続きを読む