主人公・深玉は、後宮において筆跡鑑定を専門として働く――いわゆるバリバリのキャリアウーマン。そんな彼女の能力が見込まれて行われる数々の筆跡鑑定。文字から細かな情報を読み解く彼女の姿はとても格好いいです。けれど、一方では世俗に疎くて人見知り、ちょっぴり意固地だけどお人好しで少し寂しがりでとてもかわいい。かっこよくてかわいい主人公・深玉が読んでいてとても好きになってしまいます。
そして、相棒役の調査官・夏丞は人当たりは良いけれど、本心が見えずなんとなく信用できない優男。まるで深玉とは正反対……のように見えて、実は似たもの同士な部分も。
深玉と夏丞が反発しあい、お互いに理解できないと首を振りながら、どうしても切っては切れない縁が結ばれている。もどかしい二人の近づいては離れていく距離感にも目が離せませんでした。素直になれない二人が、支え合う関係になっていく過程がとても素敵です。
後宮で起きた一人の妃の自死――そこから文字を読み解くに連れて明かされる謎、そして裏で糸を引く者の思惑、狙われる深玉、緊張感のある後宮ミステリーと二人の関係、どちらも楽しめる素敵な物語でした。