恐怖ではなく怪異で魅せてくれる

 平和な街が壁に覆われる…という設定は、ダンジョン攻略モノ、ダンジョンアタック系という事になるのでしょうか?

 しかし、そのジャンルで多くの場合、環境と人間関係の双方で閉塞感が漂う印象があるのですが、本作には、そんな閉塞感や息苦しさが感じられません。

 これは欠点ではなく、主人公の女子高生、メインとなる人間関係の中心にいる死神の存在が大きいという事だといえば、多くの人が読後に感じる長所と重なると思います。

 二人に代表されるキャラクターの関係は、基本的には明るく、ストーリーのガジェットである紫の壁と、その内部に出てくる雪女や朧車といった妖怪の存在は、どこか遊園地のお化け屋敷を思い浮かべさせられました。

 閉塞感や絶望感ではなく、そういった不思議さで見せてくる点も、この物語が面白いテンポにある事を度々、印象づけられました。

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