概要
神のごときと呼ばれた建築家の、子ども時代の話
王都から遠く、平原区の端にたたずむ職人の谷。
そこに住まう鍛冶屋の息子、アメヌイは、父の意向により石工の弟子となる。
彼は鍛冶職人になりたかった。
人から奇異の目で見られることを何よりおそれた。
妹のティと、彼女の面倒をみる奴隷のレンナンは、人目をはばからず笑っている。
アメヌイが本当におそれたものは――。
そこに住まう鍛冶屋の息子、アメヌイは、父の意向により石工の弟子となる。
彼は鍛冶職人になりたかった。
人から奇異の目で見られることを何よりおそれた。
妹のティと、彼女の面倒をみる奴隷のレンナンは、人目をはばからず笑っている。
アメヌイが本当におそれたものは――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!価値観とは。間違いとは。そして疑問を持つこととは。
この作品にはあちこちに色んな価値観が散りばめられてある。
既存の価値観に疑問を持つことは孤独と危険を伴う。
それなら考えるのをやめればいい。
そうすれば安全でいられる。
ただ盲目に受け入れていればいい。
そしたら苦しまずに済む。
ほかと違う存在に対して名前をつけるのは容易い。
それは誰のためか。
本人のためではない。
自分たちが安心するためだ。
忌み嫌おうが綺麗な言葉で崇めようが、
特別扱いには違いない。
既存の価値観に染まるのは楽だ。思考を停止させるほど楽なことはない。
でもそこに拭えない違和感はないか。
違和感から目をそらして視線を合わせないようにしてはいないか。
疑問を持つという…続きを読む - ★★★ Excellent!!!間違いだと感じているのは、一体だあれ?
アメヌイには妹がいる。
言葉を話せない、うまく理解ができない。能力を発揮できない。
それでも、奴隷のレンナンは言う。
「彼女は祝福されている」
奴隷という価値観が当たり前に備わっている世界では、奴隷という身分にすら声を上げるものはほとんどいない。
それは世界が間違っているからか?
正しいとかじゃなくて、ただそのようなルールがあるだけだ。
神が普遍的な世界で、神を信じない者がいるとすれば、それは敵であり異端者で変人で笑いものだ。
愛を育める対象も普遍的な価値観であれば、当然――
この物語を読んで、「間違っている!」と声を上げたのだとしたら、そう思っているのは、きっと読まれたあ…続きを読む