間違いだと感じているのは、一体だあれ?

アメヌイには妹がいる。

言葉を話せない、うまく理解ができない。能力を発揮できない。

それでも、奴隷のレンナンは言う。

「彼女は祝福されている」

奴隷という価値観が当たり前に備わっている世界では、奴隷という身分にすら声を上げるものはほとんどいない。

それは世界が間違っているからか?

正しいとかじゃなくて、ただそのようなルールがあるだけだ。

神が普遍的な世界で、神を信じない者がいるとすれば、それは敵であり異端者で変人で笑いものだ。

愛を育める対象も普遍的な価値観であれば、当然――

この物語を読んで、「間違っている!」と声を上げたのだとしたら、そう思っているのは、きっと読まれたあなた方なんだろう。