不死人のバラード

作者 虹音 ゆいが

34

13人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★ Very Good!!

ほんの些細な喧嘩

100年間会えなくなってしまった少女。

もう一度会って仲直りがしたい。たったそれだけのちっぽけな願い。

不死となったことで、周りの仲間は年をとっていく。

家族を築いて、子供の成長を喜ぶものもいる。

世界に取り残されたようなアステルは、それでも誓いを貫き続ける。

生き続けることは苦しみであるのかもしれない。

でも、死なないから生きることができる。

そんな生は、生きていると言えるのだろうか。

これはぜひとも長編で読んでみたい。

そんな素敵な物語でした。

★★★ Excellent!!!

邪神を封印するため、生贄として100年の眠りについたフィリアと再び会うため、神・シェルリーゼに“不老不死にしてくれ”と頼む主人公・アステル。こうして、シェルリーゼとの100年が始まる。

そんな最初から激しい展開だけど、中身は割と穏やかに進んでいく。激しいバトルシーンもなく、会話と日常で話と時間が進んでいく。そこが雰囲気が感じられていい。

アステルの心情描写があまりされないのに、感情の変化がひしひしと伝わってくるのが見事だな、と思った。場所と会話と時間と仕草。それだけの描写で伝えてしまっていた。

そしてラストが凄い。あんなラストは想像できなかった。というか、そのラストが嫌だったから、無意識のうちに考えないようにしてたんだと読み終わってから思った。一万字の短編なのに愛着わかせる。その力がこの物語にはある。

読んで後悔はしないと思うので、是非読んでほしい。