第11話

○大学(朝)・研究室

教授「ひどいめにあった! 話と全然違うじゃないかあ!」

   教授は研究室に入った途端、下着もろとも服を脱ぎ始める。

助手「あー 先生漏らしたんですか? だっせー」

   男性助手(25)があっけらかんと言い放つ。

教授「なんだあの猫! なんだあのカラス! わたしは夢でも見てたのか!?」

助手「あ この子たち生きてますけど」

   助手がケージを覗き込むとカラスが威嚇する。

   奥で猫が縮こまっている。

助手「シメて食べちまいますか?」

教授「…わたしは生まれてこの方オカルト信仰など一度もしたことがなかったん

 だ だがあの顔にかかる生暖かい息… 鳴き声… ぎょえええええ! 逃せ逃

 せ! 怨みでも買ったらおおごとだ!」

助手「あーぼくのこと信用してない 学長にバラすと思ってます?」

教授「逃せ!」


○大学の裏手の山(朝)

   助手の男が持ってきたケージを開ける。

助手「まったく無茶をしてくれたね」

   カラスと猫がトコトコと出てくる。

助手「人間社会で生きていくつもりなら もう少し慎ましやかにやってくれよ」

   助手の頭から動物の耳的が生えてくる。

助手「こっちまで飛び火したら たまったもんじゃない」

   そういうと助手は去っていく。

   嘴とサバ子はしばらく呆気ににとられていたが、ボンと人間の姿に変わ

   る。

サバ子「…同類が近くにいたんですね」

嘴「アイツ最後までおれたちを食うつもりだったぞ」

   嘴とサバコ、立ち上がる。

嘴「…さてどうするか」

サバ子「一芝居うったとわかったら猫又様に喰い殺されてしまいます」

嘴「もう山には戻れねえなあ」

   二人朝焼けに向かって歩き始める。

サバ子「いい機会だから部屋を借りようと思うんです」

嘴「酔狂な猫だ」

サバ子「ふ太さんも…! い いいい 一緒に住みませんか? ほら! 何かと助け合 えると思うんです!」

嘴「けっ やなこった! 屋根のあるとこなんかで寝られるかっ」

サバ子「…そうですか」

   しゅんとするサバ子。その様子を嘴は横目で見る。

嘴「…たまには飯ぐらい食いに行ってやるよ」

   パッとサバ子の表情が明るくなる。

サバ子「わたし料理も始めようと思うんです! 太さんの好きな料理はなんです

 か!?」

嘴「お前本格的に猫辞めるつもりか…」

   二人色々言い合いながら歩いていく。

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レイブン・アンド・ストレイキャット まいずみスミノフ @maizumi-smirnoff

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