第8話
◯道・袋小路
数日後、サバ子、学校へ向かう。しかし道を曲がったところで硬直。目を
見開く。袋小路 でネコの集会が行われている。道に塀に、百匹近い数の
猫が彼女の方を見る。その中心には尻尾の先が割れた巨大なオス猫、猫又
(500)がいる。
猫又「あらサバ子 久しぶりじゃなーい」
サバ子「猫又様…」
猫又「あんた最近カラスと遊び呆けてるって聞いたんだけど 何かの間違いよ
ね?」
サバ子「そ それには事情がありまして…」
猫又 「そうよねー やだあたしったら早とちりしちゃった もうちょっとで喰い殺す ところだったわよ で? 事情って何かしら?」
サバ子、口を動かすだけで答えが出てこない。冷や汗が顎を伝う。やがて
彼女は絞り出すように答える。
サバ子「…カラスには明烏と呼ばれる特殊な能力があります 戦争になればこれ
を用いて我々の戦意喪失を狙ってくるはずです 何かしら対策をこうずる必要
があるかと」
間。猫又が品のない笑い声をあげる。
猫又「素晴らしいわサバ子! カラスに取り入って弱点を引き出すなんて まさ
に雌猫!」
サバ子、うつむいて表情が見えない。
猫又「いいかてめえら! 期は熟した! 爪を研げ! 牙を磨け!」
猫たちが一斉にバリバリと爪を磨ぐ。
袋小路にその音が響き渡る。
猫又「宣戦布告よ」
× × ×
サバ子は一人路地に残されて膝をつく。
サバ子「…最低 わたし最低だ」
俯いていたサバ子だったが、しかし顔をあげる。
サバ子「泣いてる暇はない …諦めちゃ駄目だ わたしとあの人で両者を繋ぐ架
け橋になるんだ!」
サバ子、走り出す。
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