第3話

◯とある神社の裏手にある森(夜)

   嘴は人間姿で森を進む。そして一角で立ち止まる。

嘴「おう土産だ」

   嘴は持っていたチャーシューや餃子を地面に広げる。直後、十数羽のカラ

   スが木から一斉に降りてきて、漁り始める。

   嘴は木の枝に腰掛けその様子を見守る。

八咫烏「太よ」

   嘴の隣に三本足の大鴉が降り立つ。

嘴「ヤタガラス様…」

八咫烏「あまり山を離れるでないぞ 猫共が不穏な空気を発しておる」

嘴「…いつ戦争になってもおかしくないってことっすか?」

八咫烏「今となっては貴重な餌場だ 冬を越すためには猫にも烏にも欠かせな

 い」

嘴「けっ 人間の残飯ばかり漁ってないでたまには獲物の一つでも取って来いっ

 てんだ」

八咫烏「そういうでない 誰もがお前のように 山と街の二重生活をそつなくこ

 なせるわけでないないのだ」

   嘴は不満げに黙り込む。

八咫烏「ところで わしの分はないのか?」

   下を見ると土産は綺麗サッパリ無くなっている。

嘴「…みたいっすね」

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