みんなの悪運を吸って幸運にしたけどパーティ追放されたおっさんの話

「いるだけで縁起が悪い」

という理由で世界最高の冒険者パーティを追放されたフラン（三十一）

一歩けばフンを踏み、二歩で野盗と目が合って、三歩でモンスターが乱入してくるなどとにかく彼は不幸体質だった。
　
だがそれには理由がある。フランは他人の悪い運を吸収し、その人の運を良いものに好転する能力、通称〈ラックリング〉を持っていたからだ。

　十数年の冒険の果てにパーティをクビになったフランは棄てられた村で余生を過ごす羽目になってしまった。しかしそんな中でとある少女がフランに助けを求めてくる。

「モンスター討伐をお願いできませんか…!?」

　これは不運なおっさんがもう一度だけ夢を見る物語である。