18話

各地でユウトが連れてきた悪魔たちが制圧を完遂しようとしている時、玉座の前ではランドールと近衛騎士団との戦闘が始まろうとしていた。


「ユウト様、キィラ様と共にお下がりください。ここは私だけで十分でしょう」

「そうだろうな。だが、逃げる者がいては追うのも面倒だからな。お前ごと囲ってしまうが問題ないか?」

「もちろんでございます」



「よし、出て来い。[檻]」


その一言で近衛騎士団とランドールを囲むように大きな檻が《創造》される。


「その俺には『不可侵』ってのをイメージしておいたから、中からは何も通らないし、外からの干渉もできなくなっているはずだ。存分に暴れろ」

「お気遣い感謝致します」


こちらに深々と礼をしたランドールはいきなり自分たちを囲んだ檻に仰天している近衛兵たちに向き直る。



「さて、そちらの方々もどれだけ私に攻撃しても王様にはなんの被害も及びませんよ? どうぞ頑張ってください」


煽るのがくせなのかな。


「どうだ?」

「だめです! 傷一つつきません!」


後ろの方でこじ開けようとしていたらしいやり取りが聞こえるが、無理だったようだ。


「ふふ、往生際が悪いですねぇ。あなた方がここから出るためには私を倒すしかないのですよ。私を倒せばここから出られるだけでなく、敵を排除できるというおまけつき! やらない理由がないですよねぇ?」



「くそっ。対悪魔陣形! どちらにせよ王に仇する輩は倒さねばならん! いくぞ!」


そんなのがあるのか。


「おやおや。悲しいですねぇ。不可侵条約があるのに私たちを倒すための訓練もしていたというわけですか?」

「当たり前だろう! そもそも悪魔など信用できる相手ではない! 今のような状況になった時のために用意をしておくのは当然だ!」


現にこうなっちゃってるからな。



王国の対悪魔陣形。

盾持ちの兵が前に並び、その間から槍をのぞかせて接近を牽制。

突っ込んできたとき用に剣を上段に振りかぶっている兵がその後ろに並び、その後ろで魔法担当が詠唱をしている。

基本的には接近戦では勝てないだろうから遠くから魔法の雨を降らせて削り切ってしまおうということか。


にしてもこいつらはなんでこの陣形が最適だと判断したんだ?

俺からしてみればむしろ非効率な気がしてならない。


「ねぇユウト……。大丈夫なの?」


混乱しているもののランドールが味方だということはわかっているらしいキィラが不安げに聞いてくる。


「なにがだ?」

「ほら、あんなに大勢と戦うんだよ? 対策もしてるみたいだし……。ユウトが檻をだしたりあんなことできるなら一緒に戦ってあげればいいじゃない。もちろん、無茶はだめだけどね?」



「問題ないって」


俺はこともなげに言う。

「あいつらの対策があってりゃランドールでもきついだろうけどな? 合ってなかったらそれはただの隙にしかならない」

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