時代の始まり
1話
「はぁー」
あと一週間以内に今回選ぶスキルを選ばなきゃいけないのか……。
「憂鬱だなー」
俺が住んでいるのは小さな町の村長のような立場の家の次男としてだ。長男はアホだが、継ぐのは長男と決まっているので俺は継ぐことができない。だから手に職をつけるようなスキルがいいんだけど……。
「といっても|これら(・・・)以上のスキルなんてもうないだろうしな」
なんか前世の俺が農夫を選んだわけがわかった気がする。
「どうしたもんかなー」
「なぁに? まだスキルのことで悩んでるの?」
「あ、あぁ。キィラか」
この娘はキィラ。この村の一番の有望株だ。なにに期待されているかといえば『なんにでも』と言わざるを得ない。キィラは《数学者》をスキルとして6歳で獲得し、知識をつけるにつれてその精度はあがりまくっている。物理法則に従う事象なら大抵のことは即座に計算し、予測を立てることができる。ちなみに幼馴染であり、先に生まれてるからかお姉さん面してくる。
「1週間後には決まるんだからくよくよしない! なんかヘンなのになってもあたしが面倒みてあげるから!」
「いやヘンなのにはなりたくないぞ!?」
なんてこと言うんだ。
キィラはくよくよしても意味ないって言うけど、俺は自分のスキルを決められるから考えなきゃいけないんだよなあ。
どうしたもんか。
俺は自室に戻り、既存スキル表を眺める。
「やっぱこの中から選ぶしかないのか……」
この表はリアルタイム更新で|職業(ジョブ)系のスキルは今までになったことのある人数と現在いる人数がわかるようになっている。
「これどんな仕組みなんだろうな……」
考えは全くまとまらず、そんなどうしようもないことに思いを馳せることになってしまう。
「お?」
なんだこれ?
「《創造者》?」
リストの1番下にあった。いつもここまで来る前に面倒になってやめていたから気づかなかった。
「今までとった人……0!?」
スキルは確率に従ってランダム生成されるはず……。いままで誰もなることがないような確率なんてあるのか?
このスキルに俄然興味がわいたぞ。
そして俺が決断しなければいけない日がやってきた。
俺はあのあとあのスキルについてかなりの時間を費やした。その結果あのスキルは原材料さえあればなんでも作れるというスキルであることがわかった。
ここで俺は考えた。
そして俺は《転生》の特徴である自分の思ったスキルにできるということを最大限利用することにした。
「さあ、ユウトの番だよ? ちゃっちゃと終わらせてきなさい!」
バチッ!!
痛っ!! なにすんだ!?
「気合よ気合! なにか変わるかもしれないでしょ?」
「仮にも《数学者》ならそういう根拠のないこと言うなよ……」
ーあなたに加護を授けましょう。おぉ、あなたはご自分で力を得られるのですね。どのような力を望まれるのでしょうか。
これ前も聞いたけど神がこちらに選択権をくれるっていうのはかなりすごいことだよなぁ。
「俺は《無限創造》が欲しい」
《無限創造》これは俺が《創造》をもとに考えたオリジナル、ユニークスキルだ。《創造》にはその過程に制限があった。これはその制限をなくしたものだ。つまり、
自分の考えたものを制限なしで作れるようにとしたものだ。
ー承認しました。あなたにユニークスキル《無限創造》を授けましょう。
……。これで作れるようになったのか?
とりあえず戻るか。
「あ、ユウト! どうだった?」
「一応確定したけどあとで自分で使ってみてからみんなに言うよ」
「なにもったいぶってんのよ」
「自分でもいまいち使い方がわからないんだよ。自分が把握してからでいいだろ?」
これは本音だ。
「まあ、そういうことなら……」
その夜。
俺は家を抜け出してスキルを試していた。
なにを作ろう……。
「とりあえず……。[家]」
ブゥゥン。
さっきまで何もなかった場所に2階建ての家が現れる。
「俺が想像したのと一緒だ……」
つまりこの能力は俺が
「てことはだ。[ドラゴン]」
グロァァァァアア!!!
「うわー!!!」
自分で出しといてなんだがまじで出るのか!
「頼むから静かにしてくれ!」
グルルゥ。
俺の指示に従うようにしといてよかった……。死にかけた……。
「---」
なんか呼ばれた気がして後ろを振り向く。
そこには吸い込まれるような漆黒の髪の美女が立っていた。
俺は覚えている……。この人は……。
「シル……エラ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます