セカイ系を継承したロボットSF

重厚な世界観や設定資料集かと見紛うばかりの専門用語の羅列――そのような退屈な説明文は、継王蒼機ザナクトには存在しない。

描かれているのは、どこまでも青い空を穿つ、蒼の巨躯。

兵器が人型である理由を突き詰めた結果、セカイ系のストーリーテリングこそが最適解であると、筆者は思い至ったという。

必要最小限度さえ削ぎ落としてしまったかのような文章からは、極限まで研ぎ澄まされた鋭利な感性が迸っている。

物語構造もシンプル。セカイを再起動できる謎の銀髪美少女を軸に、主人公と敵が記憶や過去を巡って戦い、概念的資源を奪い合う。

彼らの交錯した人間関係が、三角関係の恋愛模様がロボットの仕様にまで接続されていることに気付いたとき、読者はセカイ系とは何たるかを知るだろう。

セカイ系が好きな人、セカイ系という異世界を覗いてみたい人、とにかくかっこいいロボットバトルシーンを読みたい人たちにオススメの一作。

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