継王蒼機ザナクト

作者 ハムカツ

53

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★★★ Excellent!!!

重厚な世界観や設定資料集かと見紛うばかりの専門用語の羅列――そのような退屈な説明文は、継王蒼機ザナクトには存在しない。

描かれているのは、どこまでも青い空を穿つ、蒼の巨躯。

兵器が人型である理由を突き詰めた結果、セカイ系のストーリーテリングこそが最適解であると、筆者は思い至ったという。

必要最小限度さえ削ぎ落としてしまったかのような文章からは、極限まで研ぎ澄まされた鋭利な感性が迸っている。

物語構造もシンプル。セカイを再起動できる謎の銀髪美少女を軸に、主人公と敵が記憶や過去を巡って戦い、概念的資源を奪い合う。

彼らの交錯した人間関係が、三角関係の恋愛模様がロボットの仕様にまで接続されていることに気付いたとき、読者はセカイ系とは何たるかを知るだろう。

セカイ系が好きな人、セカイ系という異世界を覗いてみたい人、とにかくかっこいいロボットバトルシーンを読みたい人たちにオススメの一作。

★★★ Excellent!!!

「継王蒼機ザナクト」という物語は、事あるごとに"リソース"という概念を持ち出してストーリーを駆動させて行く。
それはエネルギー残量を厳密に管理しなければならない戦闘レベルでもそうだし、
そもそも登場人物たちが身を置く闘いの図式からしてそうだ。

既にあるリソースを消費する形で、物語は進んで行く。
あるいは元々在ったものさえ擦り減らして、後退して行く。

"既に滅んだセカイ"同士が喰らい合わなければならないという、壮大なゼロサム形式のバトルロワイヤル。もう新しい何かを造り出そうとする働きを止めてしまったセカイで、それでも少年と少女は出逢った。
出逢って同じ時を過ごし、共に肩を並べて戦った――――

もしもこの何もかもが停滞したセカイで積み上げられて行く何かが有り得るとすれば、それは二人の積み重ねて来た時間であり、経験であり、記憶かも知れない。

だからこそ
ただ、無常にすり減って行くセカイで出逢った二人の行く末こそが、きっとこの閉ざされたセカイの出す答えにも直結するはずなのだ。
何故ならこれはセカイ系なのだから!

***

作品を形作る表面的な要素以上に、ストーリーとテーマこそがセカイ系としての濃度を高めていると感じる一作です。
是非、あなたも読んでみては!

★★★ Excellent!!!

手のひら一つ分ほどの、ちっぽけな世界。
登場人物も他の作品に比べればさほど多くはありません。
だからこそ、一人ひとりの『理由』を丁寧に書かれています。
余分なものが何一つないものをセカイ系なんて簡単な言葉で呼んでいいのか、ちょっと迷います。

それはそうとして眼鏡はいいぞ。

★★★ Excellent!!!

覚えているのに分からない街、覚えているのに名前が思い出せない少女、そしてどこか覚えている蒼い人型の兵器。

何もかも失った世界で、少年は少女に導かれるままに敵を倒す。待っているのは破滅か、それとも幸福か。

謎めいた街と敵が描写される中、徐々に明かされていく真実。それを追いながら読んでいくのが非常にワクワクするも、どこか不安な感じをさせてしまう。

真実を確かめたい方はぜひとも!

★★★ Excellent!!!

 日本が世界に誇る文化、ロボットモノ…最近元気がないなんて言われるけど、それでもこうして傑作は生まれ続ける。何故か?それは、ロボットが遠い未来じゃなくなった今でも、創作物のロボットモノで育った世代は遠くを見てるからだ。そして、そんなあなたに本作がオススメ。突然の戦闘、巻き込まれる市民と主人公、謎の少女、錯綜する想いと記憶、そして覚醒する蒼き巨神。王道とお約束を上手にちりばめ、自分独自の演出に昇華させる手並みは見事としか。さあ、続きを俺も読んでくぞ!